ハーレーに装着できるキャブの種類と特徴をまとめてみた!

FIモデルが登場している現在でも、キャブレター仕様のハーレーは変わらぬ人気を誇っています。 そこで今回は、ハーレーに装着可能なキャブレターの種類とその特徴について、簡単にご紹介します。
当店ネットショップにて多数のキャブレターを掲載しておりますので、ぜひお気に入りの商品をお選びください!
キャブレターとは?
キャブレターとは、燃料(ガソリン)と空気を混合する部品、つまり燃料気化装置です。ガソリンタンクに貯められたガソリンは、キャブレターで混合気となり、エンジンに供給されます。
混合には、エンジン内のピストンが下降するときに発生する吸引力(負圧)が利用されます。いわば、機械的に混合されるのです。
キャブレターとフューエルインジェクションの違い
燃料気化器は、キャブレターからフューエルインジェクションへと進化しました。
キャブレターはエンジンの負圧を利用しますが、インジェクションは異なります。エンジンの様々な情報(エンジン回転数・車速など)をセンサーで読み取り、それを計算した上で、最適な濃度の混合気を燃焼室に送り込みます。負圧は利用しません。
そのため、一般的にインジェクション搭載車は、キャブレター搭載車よりも新しく、燃費が良く、高出力です。普通に考えればインジェクション搭載車の圧倒的勝利ですが、趣味の世界ではそうも言えません。キャブレターには独特のフィーリングがあり、当時の機構でも十分に楽しめること、そしてそれを尊重する姿勢すら大切にされることから、キャブレター搭載車にも価値があるのです。
CVキャブ
CVキャブとは、日本のケーヒン製のキャブレターです。1989~2006年頃まで純正キャブとしてハーレーに搭載されていました。
ケーヒンとは、正式名称を京浜精機工業(現・株式会社ケーヒン)といい、日本のメーカーです。
CVキャブは負圧スライド式(コンスタントバキューム=CV)で、スロットル操作は「バタフライバルブ」の開閉のみです。実際の吸気量に応じてダイヤフラム式のスライドピストンが上下し、ニードルが動いて燃調を制御します。
始動性が良い、標高差や気温変化に比較的強い、燃費良好、といったメリットがあります。
93-99ビッグツイン純正CVキャブ用エアークリーナーKIT
品番:6100-0122
メーカー:GUTS CHROME
価格:¥27,610(税込)
適合:93-99ビッグツイン
「93-99ビッグツイン純正CVキャブ用エアークリーナーKIT」は、ブラケット、ブリーザーボルト、ホース、ブリーザーフィルターが付属します。このセットでノーマルエアクリーナーから交換できます。イメージチェンジにいかがでしょうか。
ケーヒン バタフライ
同じくケーヒンの製品で「ケーヒン バタフライ」と呼ばれるキャブレターも、1976年~1987年頃までハーレーに純正キャブとして搭載されていました。
こちらはバタフライバルブ式キャブで、吸気通路の真ん中に「円盤(バタフライ)」があり、これを回転させて開度を変えることで吸気量を調整します。燃料供給はジェット+加速ポンプ(エボリューションエンジン期以降)です。ダイヤフラムや負圧スライドを使わないシンプルな構造が特徴です。
メンテナンスが容易で構造も単純、レスポンスはSUキャブやCVキャブに比べてダイレクト、といった特徴があります。しかし、燃調の安定性や燃費は今ひとつです。また、高回転域ではやや苦しいため、カスタム派やチューニング派には物足りない点があります。
ミクニHSR
続いて、ミクニHSRをご紹介します。こちらはケーヒンと双璧をなす、日本のミクニの製品です。株式会社ミクニは、二輪・四輪の吸気系に強い部品メーカーです。
ミクニHSRは、いわゆる強制開閉式キャブレターです。ノーマルキャブレター(負圧式)と比較して、スロットル操作にダイレクトに反応する「強制可変ベンチュリータイプ」であるため、よりダイレクトな加速が期待できます。また、ハーレー専用設計のキットが存在するのも心強い点です。
MIKUNI HSR42キャブ トータルキット EVO用
品番:G42-8
メーカー:MIKUNI
価格:¥110,000(税込)
適合:EVOビッグツイン用
ハーレー専用設計の強制開閉型キャブレターで、低速から高速まで全域にわたって体感できるほど鋭く加速する、非常に優れた高性能キャブレターです。
マニホールドからエアクリーナーまでのセットですので、他に必要な部品はありません(マニホールドシールは付属していません)。
ただし、こちらの商品はメーカー在庫が非常に不安定な状況が続いており、入荷までに数か月お待ちいただく場合がございます。そのため、再入荷のご連絡やバックオーダーをご希望の場合でも、確実な納期をお約束することができません。
弊社おすすめの商品ですので、もしご購入をご検討のお客様は、弊社に在庫がある際にお早めのご注文をお勧めいたします。
S&Sシリーズ(SU、B、E、G)
ハーレー用のキャブレターといえば、老舗パーツメーカーのS&Sを思い浮かべる方も多いことでしょう。キャブレターをはじめ、吸気系でも圧倒的な強さを発揮します。
キャブレター製品群は、SU、B、E、Gです。
前述のCVキャブがダイヤフラム式サクションチャンバーピストンと加速ポンプを装備しているのに対し、SUキャブはそれらを装備していません。また、SUキャブはメインジェットを上下させ、ニードルジェットとの隙間を調整することで、ガソリン量を調整します。
一方、E、G、Bキャブレターは、固定ベンチュリー式です。ベンチュリーとは、キャブレターに設けられた通路の絞り(狭くなっている部分)のことで、この通路の広さが固定されている構造です。混合気を作る量は吸気の流量に左右されますが、それはスロットルケーブルに接続されたバタフライによって調整します。
S&S E キャブ 91-03 年スポーツスター用
品番:11-0409
メーカー:S&S Cycle
価格:¥145,200(税込)
適合:91-03 年スポーツスター用
言わずと知れた大口径・バタフライキャブレターです。中・高回転のパワーが魅力です。
このキャブセットは、スポーツスターの純正ケーブルはトラベルが長すぎるため使用できません。ダイナ/ソフテイルのCVキャブレター用ケーブルに交換する必要があります。
S&S Gキャブ 本体のみ
品番:11-0421
メーカー:S&S Cycle
価格:¥90,750(税込)
適合:口径2-1/16(約52mm)
付属品は以下。
メインジェット:.072/.076・インタメジェット:.031・ケーブルガイドショート・ケーブルガイドロング。
S&S Eキャブ 本体のみ
品番:11-0420
メーカー:S&S Cycle
価格:¥90,750(税込)
S&S製 定番キャブレターのS&S スーパーE キャブ単体です。補修用などにどうぞ!
2種類のスロットルガイド付き。
付属ジェット:(.066/.068/.070/.072/.074/.076/.078/.0265/.0280/.0295/.0310)
リンカート
続いてご紹介するのは、リンカートです。リンカートは第二次世界大戦前からアーリーショベルの時代まで、ハーレーに純正採用されていたキャブレターです。
第二次世界大戦前からサイドバルブエンジン搭載車、ナックルヘッドに、そして第二次世界大戦後はパンヘッド、ショベルヘッドにも、このリンカート製品が使用されていました。
リンカート製キャブレターの構造は極めてシンプルです。固定ベンチュリー式+強制開閉というキャブレターの原理原則的な仕組みを採用しており、時代を考慮するとかなりの高性能を誇りました。
ベンディックス
ベンディックス製キャブレターは、構造的にはリンカートを踏襲した、固定ベンチュリー+強制開閉のキャブレターです。簡素なセッティングで走ることができたリンカートに対し、オーバーフローしないこと、始動性、アイドリングの安定性、高速走行の性能などが求められるようになったことから、新たな機能が追加されました。
ティロットソン
ティロットソンは、アメリカのキャブレターメーカーです。1914年にオハイオ州トレドで、ティロットソン製造会社として設立されました。急成長を遂げる自動車産業に向けて、乗用車向けのフロートキャブレターの製造会社としてスタートしました。
ティロットソン製キャブレターは、主に1967年以降、ショベルヘッドの時代にハーレーに純正採用されていました。
このティロットソンキャブレターはフロートボウルを持たず、エンジンの燃焼室で発生する負圧によりダイアフラムが開閉して、キャブレター内にガソリンを供給する仕組みでした。
まとめ
キャブレターは、ハーレーの走りに独特の味わいを加える重要なパーツです。多様な種類があり、それぞれ特徴も異なります。
自分に合ったキャブレターを選ぶことで、ハーレーのポテンシャルを最大限に引き出し、より一層のライディングを楽しめるでしょう。
各キャブレターの特性を理解し、愛車に最適な一品を見つけてください!