レギュレーターの寿命・交換時期や交換方法について!
普段あまり意識することはありませんが、エンジンが稼働している間、バイクには絶えず電気が流れています。この電気を調整する役割を担っているのが「レギュレーター」です。もしレギュレーターが故障してしまうと、バッテリー上がりや電装系のトラブルなどを引き起こす原因となります。
今回は、レギュレーターの基礎知識から、故障のサイン、寿命や交換時期、メンテナンス方法まで、分かりやすく解説していきます。
レギュレーターは電気の「交通整理役」
ハーレーのエンジンには、今回の主題である「レギュレーター」とは別に、「オルタネーター(発電機)」という部品も搭載されています。オルタネーターはエンジンの回転を利用して交流(AC)電流を発生させる装置ですが、この交流電流はそのままでは車両の電装系で使用できません。
そこで活躍するのが「レギュレーター・レクチファイア」です。レギュレーターには大きく分けて2つの役割があります。1つ目の役割は整流(レクチファイ)で、オルタネーターから出力される交流電流を直流(DC)に変換します。もう1つは電圧制御(レギュレーション)で、エンジン回転数に応じて変動する電圧を、一定の範囲に保つ役割を担っています。
レギュレーターは、発電された電気の「交通整理」をしているようなものと捉えることができます。電気が強すぎるとバッテリーに負担がかかり、逆に弱すぎると点火やライトが不安定になることがあります。それらを交通整理役のレギュレーターが適切に調整しているのです。
レギュレーター故障の前兆 – 小さな変化を見逃さない!
レギュレーターの不調は、初めはごくわずかな症状として現れます。これを見逃してしまうと、バッテリーがダメになったり、最悪の場合は走行不能に陥ることもあります。筆者も過去にレギュレーター故障を経験し、「後から思えばあの症状を見逃していた……」と後悔したことがあります。皆さんはそうならないよう、以下のような症状が現れた場合はレギュレーターの故障を疑ってください。
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バッテリーの電圧が不安定:エンジンをかけても電圧が上がらず、アイドリング中にヘッドライトが暗くなる
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ウインカーの点滅が不安定:アイドリング中はウインカーの点滅が遅く、エンジン回転を上げると速くなる
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セルの回転が弱い・始動性が悪い:常にバッテリーが弱い
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ヒューズ切れが頻発する:過電圧の可能性がある
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バッテリー液の減りが早い:レギュレーターが電圧制御できず過充電が発生
これらの症状のなかでも、特に「ヘッドライトが暗い」「バッテリーが新品なのにすぐ上がる」といった場合は要注意です。ハーレーの場合、走行距離や年式だけでなく、熱や振動による内部損傷もレギュレーター故障の要因となります。外見では分かりづらいため、異常が出たときはまずレギュレーターを疑うのが良いでしょう。
レギュレーターの寿命・交換時期 -「突然死」することも⁉
レギュレーターの寿命は、一般的には5〜8年程度とされていますが、これはあくまで目安です。走行や保管環境によって前後します。
例えば、真夏の渋滞路を頻繁に走行したり、雨天でもバイクに乗る場合は、3年程度でトラブルが発生することもあります。逆に、保管状態が良く、日常的にメンテナンスをしている車両では10年以上トラブルが起きないケースも珍しくありません。
やっかいなのは、レギュレーターが「突然死」することがある点です。前日まで問題がなくても、翌朝エンジンをかけたら全く動かないというケースもあります。通常はまずバッテリーを疑いますが、バッテリーを新品にしても改善されず、プロショップに修理を依頼した結果、原因はレギュレーターだったということも珍しくありません。
定期的に電圧をチェックしておくことで、トラブルの早期発見や予防につながります。
レギュレーターのメンテナンス – 放熱と接点保護がポイント!
レギュレーターは、タイヤやオイルほどではありませんが消耗部品のひとつです。内部の電子回路は基本的に分解整備ができませんので、「壊れたら交換」が基本となります。とはいえ、トラブルを減らすために日常的なメンテナンスを行うことは可能です。以下に、日常メンテで気をつけるポイントをご紹介します。
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放熱フィンを清潔に保つ:ほこりや泥、オイルミストなどが付着すると放熱効率が低下し、内部温度上昇による故障の原因となります。放熱フィンは中性洗剤で優しく洗い、風通しの良い状態でよく乾かしてください。
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コネクターの接触確認:端子が緩んだり、腐食していると電気抵抗が増え、発熱や焼損の原因となります。コネクターの接触部分に緩みや腐食がないか、定期的にチェックしましょう。
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配線の状態確認:頻繁に行う必要はありませんが、エンジンの熱や振動で配線被覆が劣化していないか、擦れていないかを確認してください。
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電圧の定期チェック:アイドリング時や3,000rpm程度でテスターを使い、13.5〜14.5Vの範囲内か確認します。面倒な場合は、日ごろからセルの回り方やヘッドライトの明るさを観察するだけでも十分です。
なお、ハーレーに限らずモーターサイクル全般にいえることですが、特に夏場はレギュレーター故障が増える傾向にあります。夏の猛暑で放熱が間に合わず、熱によって部品がダメージを受けやすいためです。洗車時などに軽く状態をチェックする習慣をつけると安心です。
レギュレーターの交換方法と費用 – DIYも可能だが注意を!
レギュレーターの交換作業は比較的簡単ですが、電装系に関わるため慎重な作業が求められます。ざっくりとした手順は以下の通りです。
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バッテリーのマイナス端子を外す
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古いレギュレーターを固定しているボルトを外す
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オルタネーターやバッテリーへの配線を外す
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新しいレギュレーターを取り付け、配線を正確に接続する
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電圧を測定し、正常範囲内であることを確認する
レギュレーターの位置はモデルによって異なりますが、ツインカム以降のモデルではフレーム前方(ダウンチューブ下部)に設置されている場合が多いです。
価格は2~4万円程度。社外品では1万円台の製品もありますが、信頼性がさまざまで、安価な海外製の場合「半年で再故障した」といった例も見受けられます。基本的にはハーレー純正品、または信頼できるメーカー製品を選ぶのがおすすめです。
作業自体はDIYでも可能ですが、端子の方向や配線ルートを誤ると発電系全体にダメージが及びます。自信がない場合はプロショップに依頼してください。その際は別途工賃がかかります。
レギュレーターを侮るなかれ!
レギュレーターは小さな部品ながら、ハーレーの電気系統を支える非常に重要な役割を担っています。
ツーリング中の突然のトラブルを防ぐには、日常の点検・メンテナンスと、異変を感じたら早めに対応することが何より大切です。愛車の鼓動を長く楽しむためにも、洗車やメンテナンスの際には、レギュレーターにもぜひ目を向けてみてください。
最後に、当店ネットショップで販売しているレギュレーター関連部品の一部をご紹介いたします。
1989-99年ビッグツイン 黒Dタイプ レギュレーター
品番:8600-5353
メーカー:GUTS CHROME
価格:¥15,510(税込)
適合:1989-99年ビッグツイン
最初にご紹介するのは、当店オリジナルのリプレイス(補修用)レギュレーターです。主に1989-99年EVOビッグツインに適合しますが、インジェクション車および1997年以降ツアラーモデルは非適合です。Dタイプ差し込み口となります。
DSI製 機械式レギュレーター 66-69 FL / 67-78 XLH
品番:DS-325496
メーカー:Drag Specialties
価格:¥22,000(税込)
適合:1966-69年 FL、FLH/1967-78年 XLH
続いて「DSI製 12V機械式レギュレーター」をご紹介します。リプレイスとして1966-69年のFL、FLH/1967-78年のXLHにご使用できます。それ以前の車種でも12Vへ変換済みで、ジェネレーター発電の車両であればご利用いただけます。
サイズ:横約98mm(カバー部)、縦約70mm(カバー部)、高さ約68mm(本体)。ラバーブッシング3コが付属します。
CE社製 12Vビルトインレギュレーター・ジェネレーター 1936-69年BT用
品番:DS-313074
メーカー:Drag Specialties
価格:¥139,370(税込)
適合:1936-69年のナックル・パン・フラットヘッドモデル
最後にご紹介するのは、CYCLE ELECTRIC社製品。12Vローアウトプット・ビルトインレギュレーター・ジェネレーターです。純正6Vから12Vへ変換する場合にご使用いただけます。
ビルトインタイプの12Vレギュレーターが付属します。ローアウトプットタイプですので、5.5A付近の小型のバッテリーを搭載する場合にご使用いただけます。
取り付けボルト径は5/16-24。1936-57年の車輌に取り付ける場合はケース側の穴を5/16に拡大するか、または品番16-0920のヘリコイルをジェネレーターに入れることで1/4のマウントボルトのまま取り付けが可能です。
純正サイズ:1936-57年1/4-20ボルト、1958-69年5/16-24ボルト
※1958年以前のモデルに取付する場合は品番32-0204の13Tジェネレーターギアキットへの変更が必要になります。




