乾式クラッチと湿式クラッチのメリット・デメリット
乾式、湿式という言葉を聞いたことはありませんか?どちらもクラッチの種類を指しています。ハーレーだけに限りませんが、「カラカラカラ」という、やたらと乾いた金属音を立てて走るバイク音を聞いたことはありませんか?あれが乾式クラッチの音です。現行のハーレーでは湿式を採用しているので、何らかのカスタムを施さない限り、あの音を聞くことはありません。では、何故クラッチは2種類存在するのでしょう?
そこで今回は乾式クラッチと湿式クラッチの違いについてお話したいと思います。
乾式クラッチとは?
クラッチはその特性上、冷却を施さなければなりませんが、空気によって冷却するタイプのシステムが乾式クラッチです。ショベル以前のハーレーでは乾式クラッチを採用していました。オイルで冷却する湿式よりも冷却性が優れている反面、クラッチが露出しており、上記した乾式クラッチ特有の「カラカラカラ」という金属音が発生します。その音の大きさをデメリットと捉える人もいますし、逆に誇らしげにその音を立てる人もいるので、単にデメリットとは論じられません。
オイルを間に挟まない分、動力がそのまま伝わるのでパワーロスが湿式に比べ少なく、レーサーなどに採用されています。ただし、オイルに浸かっていないため、耐久性は短くなります。これは紛れもなくデメリットと言えますね。ハーレーではオープンプライマリーになっている車両はすべからく乾式になります。また、レーサーをそのまま公道仕様にしたと公言しているドカティなどの一部のオートバイは乾式クラッチを用いています。
乾式クラッチのメリット・デメリット
乾式クラッチは上記したように冷却製に優れ、パワーロスを起こし難いというメリットからレーサーなどに用いられています。耐久性が低いというデメリットも、レースという耐久性をあまり気にしないで済む環境ゆえに不利には働かないからです。もちろん、騒音に関しても問題にはなり得ません。
乾式クラッチのメリット
・エンジン外部にクラッチがあるため、冷却しやすい。
・オイルに浸ってないため、パワーロスを起こし難い
・クラッチの切れている時とつながっている時が明確
・剥き出しなのでメンテナンス性に優れている
乾式クラッチのデメリット
・半クラッチにしづらい(利点にもつながるので微妙です)
・音がうるさい(人によっては好ましいと思うので微妙です)
・耐久性が低い
湿式クラッチとは?
では、翻って湿式クラッチとはどういったものでしょう。それは、クラッチがプライマリーケース内でオイルに浸かっているタイプのシステムを指します。オイルによってクラッチを冷却するだけでなく、プレートの摩擦によって出た鉄粉を洗浄します。また、クラッチがオイルに浸かっていることでアウター部の磨耗がほとんど無く、耐久性に優れています。
現行のハーレーを含め、現在のほとんどの市販のバイクは湿式クラッチを採用しています。
乾式クラッチのメリット・デメリット
ごく一般的なクラッチは湿式にあたると思って良いでしょう。冷却性は乾式に劣るものの、半クラッチ状態を作り上げやすく、耐久性に優れ、騒音もほとんど起きません。駆動ロスがある点などがデメリットとなるのでしょうが、他にはデメリットらしいデメリットも見あたりません。現行のハーレーを含めたほぼ全ての市販車がこちらになります。
湿式クラッチのメリット
・耐久性向上
・半クラッチにし易い
・騒音低減
湿式クラッチのデメリット
・駆動ロスがある
・クラッチの切れている時とつながっている時がオイルによって曖昧になる
オープンプライマリー化で乾式に
このようにクラッチには性格の異なる2種類が存在しますが、耐久性と静音性という2点に重視が置かれ、現在の市販車はハーレーを含めて、そのほとんどが湿式クラッチを採用しています。
ただ、やはりマニアには湿式クラッチでは物足りないと感じる方もいて、そういう方はプライマリーケースを外して、プライマリーチェーンをベルトに交換する……オープンプライマリーと呼ばれるカスタムを施すことで、乾式クラッチに変更することも可能です。このオープンプライマリーの最大のメリットは何と言っても視覚的効果とメンテナンス性が良くなる点でしょうか。チョッパー仕様にカスタムされた車両は、このオープンプライマリーにしている車両が多く見られますね。
耐久性が高く静かな湿式を選ぶか、より、マニア度が高く耐久性の低い乾式を選ぶかは、まさに乗り手の好みに尽きますね。自分の志向にあった仕様のバイクに乗るのが一番ですよ。
68-84 クラッチフリクションプレート ケブラー 5枚セット
品番:7100-1010
メーカー:GUTS CHROME
1968-84年ビックツイン乾式4速トランスミッション用ケブラー製フリクションプレート5枚セット。ケブラー素材を使用したフリクションプレートのセットです。通常のフリクションプレートと異なり、ケブラー素材を使用しているためフリクション素材の剥がれや初期消耗等が少ないためオープンベルトキットなどのアルミ製クラッチバスケットの内部を痛めにくいクラッチプレートです。