ライディングフィールに直結！奥深いキャブレターカスタムの世界
ハーレーの吸気系がインジェクション化されて久しいですから、若いバイカーさんの中には『キャブレター』を知らない人もいらっしゃるかも知れませんね。キャブレターというのは、インジェクションと同じく、エンジンに混合気を供給するシステムです。能動的に混合気を吐出するインジェクションと違って、キャブレターはエンジンの負圧に応じて混合気を供給します。
ということで今回は、ライディングフィールと密接に関係する、キャブレターのカスタムについてご紹介してみます。
まったりライディングしたいなら負圧式
部品交換によるカスタムだけで考えても、タイヤやホイール、もちろんマフラーやエアクリなんかも、ライディングフィールに大きく影響するのですが……ここではキャブレターに限定して話を進めて行きます。
“まったり”ライディングしたい方におススメしたいキャブレターは……負圧式でございます。
負圧式というのは、ベンチュリー部（キャブレター内の空気通路の狭くなっている所）に発生する負圧を利用して、ベンチュリー径を変化させるキャブレターです。スロットルケーブルはバタフライバルブに連動しているのですが、他の形式と比較すると、混合気供給量はアクセルワークよりもエンジン負圧に依存しているのが特徴です。ですので、スロットルをガバっと開けても、エンジンがワンテンポ遅れて反応する。リニアなライディングフィールは得られないのであります。
なのですが、逆に言えば鷹揚なキャブレターであるため、雑なスロットル操作にも対応してくれる。つまり……俊敏なレスポンスではなく、”ゆったり”や”まったり”とライディングしたい方に最適なキャブレターなのであります。
ハーレーカスタムを体現したいなら固定ベンチュリ―式
続いては、ハーレーカスタムらしさ溢れるキャブレターカスタムとして、固定ベンチュリ―式を挙げておきたいと思います。
固定ベンチュリ―式が何かと申しますと……ベンチュリ―とはキャブレターに設けられた通路の絞り（狭くなっている部分）でして、この通路の広さが固定されている構造です。混合気を作る量は吸気の流量に左右されるのですが、それはスロットルケーブルに接続されたバタフライによって調整します。で、固定ベンチュリ―式でカスタムするとなると……ベンチュリ―の径とか長さで、その性能が相当程度決められて行くことになります。
さて、固定ベンチュリ―式の代表的なキャブレターと言えば……S&Sなのであります。
S&S Bキャブ（本体のみ）
品番：11-0111
メーカー：S&S Cycle
価格：¥90,720（税込）
これがBキャブ。当店では本体のみの販売となっておりますので、その他の関連部品は別途お買い求め下さい。
発売開始から数十年が経つBキャブレターですが、未だに根強い人気を誇っています。その魅力は、高性能もさることながら、その歴史と伝統を誇るような美しいボディにあるのではないでしょうか？Eキャブ・Gキャブと比較して長～いベンチュリ―が特徴です。
固定ベンチュリ―かつ、加速ポンプも持たないシンプル構造ですので、低速域と高速域との両立が難しいわけですが、それが故に、ハマったときのトルク感は（体感で）EキャブやGキャブを凌ぐ、なんて言われているのです。
S&S Eキャブは加速ポンプ付き！
品番：11-0420
メーカー：S&S Cycle
価格：¥49,140（税込）
続いては、スーパーEキャブ。コチラは当店では、2種類のスロットルガイドのほか、以下のジェット(.066/.068/.070/.072/.074/.076/.078/.0265/.0280/.0295/.0310)付属で販売しています。
さて、EキャブとBキャブで何が違うかと申しますと……ざっくり言うと、加速ポンプが付いた、ということ。レスポンスがやや緩慢な固定ベンチュリ―式ではありますが、ハーレーは大排気量エンジン搭載ですから、中小排気量エンジンと比較すれば一定程度の負圧は発生します。だからBキャブでも高性能化は実現できていたのですが、さらなる高性能を求めた結果、加速ポンプが追加されたのであります。で、その加速ポンプの搭載と車両への搭載しやすさとを求めた結果、ベンチュリ―が短くなっています。そのため”ショーティ”なんて呼ばれているのであります。
Eキャブの口径は47.6mm。883cc～1,500ccまでのハーレーに最適であるとされています。
S&S GキャブはEキャブより大口径！
品番：11-0421
メーカー：S&S Cycle
価格：¥50,976（税込）
そして最後にご紹介するのは、Gキャブ。口径は2-1/16（約52mm）です。
<付属品>
メインジェット:.072/.076
インタメジェット:.031
ケーブルガイドショート
ケーブルガイドロング
Gキャブも、Eキャブと同じく、加速ポンプを搭載しています。では、何が違うかと言うと……それは口径。47.6mm→52.3mmと、更に大口径になっているんですね。これが意味しているのは……GキャブはEキャブより更に混合器を供給できるということ。つまり、より高性能なエンジンあるいは大排気量エンジンに適している、ということなんです。
具体的には、1,600cc以上の高性能エンジンに適している、と言われています。
パフォーマンス重視なら強制可変ベンチュリー式
最後に、カスタムというよりはチューニングパーツになりますが、パフォーマンスを重視する方におススメしたいのは……FCRやHSRでお馴染みの強制可変ベンチュリ―式でございます。ピストンバルブはスロットルと連動しており、それをコントロールすることでベンチュリ―径を強制的に可変させるのが、強制可変ベンチュリ―式であります。ガソリンの吸入量は、ピストンバルブに固定されたニードルジェットで増減させます。
この強制可変ベンチュリ―式は、スロットルの操作により、直接ピストンバルブをコントロールします。ということで、スロットル操作に対するレスポンスが極めて良い、という特徴があります。そのため古き良き時代のレーシングバイクは、軒並み、FCRを搭載していたわけです。ところが……この強制可変ベンチュリ―式はレスポンスの良さとのトレードオフとして、雑なアクセルコントロールに対しては、無下に拒否反応を示します。ガソリンの供給が追いつかず、スロットル操作と加速が連動しないこともあるのです。
FCR-39キャブレターキット 90-04XL883/1200
品番：016-753
メーカー：KEIHIN
価格：¥150,150（税込）
最高のパフォーマンスを発揮するレーシングキャブ。ケイヒン FCR39キャブレターキット 90-04年XL用です。低速から高速までアクセルの追従性がすばらしく、高速域でも鋭い加速を可能とします。
出荷時セッティング：MJ:170、SJ:58
ブリーザーキット、バックプレートなど取り付けに必要な部品は全て付属します。ケーブル、エアクリーナーはCV用が使用できます。
FCR-41キャブレターキット TC/EVO BT
品番：016-756
メーカー：KEIHIN
価格：¥145,200（税込）
コチラは、ケイヒンFCR41キャブレターキット TC/EVO用。
出荷時セッティング：MJ:170、SJ:55、メインエアジェット:200 ニードル、OCFBR中段。
マニホールド、エアクリーナー、スロットルケーブル、チョークケーブルはCV用のものが使用できます。
ショップに相談しつつ選ぶべし！
ということで今回は、駆け足でキャブレターカスタムについてご紹介してみました。
お好みのライディングを伝えたうえで、ショップに相談しつつ選ぶと良いかと思います。
