DOT4? DOT5.1? ブレーキフルードの役割と種類について再確認!

投稿日:2020-06-26

「ブレーキフルードってナニ?」なんて聞いたらベテラン・バイカーさんからは叱られてしまいそうですが、では「DOT4 と DOT5 の違いが分かる?」と聞かれると……即答できない筆者です……

なので今回は自分の復習を兼ねて、ブレーキフルードの種類と種類を復習してみます!

 

ブレーキフルードはシステムの媒介者!

最初にブレーキフルードとは何かを復習しておきますと……ブレーキフルードはブレーキオイルとも呼ばれるもので、油圧式ブレーキシステムの媒介者であると、理解できます。

もう一歩後戻りしておきますと、油圧式ブレーキシステムとは、ライダーがブレーキレバーあるいはブレーキペダルを操作した力をオイルを介して駆動する仕組み、のことであります。なので、油圧でない仕組みには、自転車のブレーキで一般的に使われているワイヤー引っ張る方式=機械式ブレーキシステムがあります。

で、油圧式ブレーキシステムでは、ライダーがブレーキレバー or ブレーキペダルを操作すると、マスターシリンダー内のピストンが油圧系内のブレーキフルードに圧を掛けて、ブレーキピストンをギュギュっと押すことでブレーキが掛かる、そういう仕組みになっています。だから、ブレーキフルードを媒介者であると言えるのであります。

 

ブレーキフルードの種類

ブレーキフルードの役割が分かったところで、次は種類に移ります。

一般的に、バイクで使われるブレーキフルードには、グリコール系とシリコン系という二種類があります。クルマ用では鉱物油系ブレーキフルードというのも存在しますが、ハーレーでは一般的ではないはずなので、ここでは割愛します。

グリコール系の主成分はポリエチレングリコールモノエーテルです。吸湿してしまっても、エステル結合が加水分解されることにより、遊離の水を減らすことができる特徴があります。レース用などの高グレードフルードほど沸点は高く、低粘度で応答性が良い、といった特徴もあります。また、塗装を侵しやすい、というデメリットがあります。

一方のシリコーン系の主成分は、ジメチルポリシロキサンです。吸湿性がないのでブレーキフルードとしての基本性能は高く、塗装を侵すこともありませんが、ゴム類を侵しやすい性質があります。そうした特徴が評価されてか、ハーレーでは長らくシリコーン系が用いられてきましたが、2005年以降はグリコール系に移行しています。

 

DOTはブレーキフルードの規格

さて、いよいよDOTとは何か、という話に移りますと……これはアメリカが定めているブレーキフルードの規格であります。日本はJIS規格というものを持っていますが、基本的にはDOTに準じていますして、恐らく業界の仕来りとして日本で流通する商品もDOT表記がされています。

で、DOT(とJIS)では、主成分や性質に応じて、DOT3~DOT5まで、以下のように分類されています。

・DOT 3:主成分;グリコール、ドライ沸点;205℃以上、ウェット沸点;140℃以上、粘度(100℃);1.5cst以上、粘度(-40℃);1500cst以下、ph値;7.0-11.5

・DOT 4:主成分;グリコール、ドライ沸点;230℃以上、ウェット沸点;155℃以上、粘度(100℃);1.5cst以上、粘度(-40℃);1800cst以下、ph値;7.0-11.5

・DOT 5.1:主成分;グリコール、ドライ沸点;260℃以上、ウェット沸点;180℃以上、粘度(100℃);1.5cst以上、粘度(-40℃);900cst以下、ph値;7.0-11.5

・DOT 5:主成分;シリコン、ドライ沸点;260℃以上、ウェット沸点;180℃以上、粘度(100℃);1.5cst以上、粘度(-40℃);900cst以下、ph値;7.0-11.5

なお、DOT5は、当初グリコール系よりも優れた性能をもつシリコーン系に与えられたのですが、後にグリコール系の性能が向上して、グリコール系でもDOT5をクリアするものが開発された、という経緯があります。また、成分には互換性がありませんので、主成分により区別するため、グリコール系をDOT5.1と表記しています。

 

愛車に適したブレーキフルードを使うべし!

ということで今回は、ブレーキフルードの役割と種類について復習してみました。

途中で記しましたように、ハーレーでは長らくシリコーン系が使われていましたが、2005年以降はグリコール系に移行しています(筆者調べ)。主成分に互換性はありませんので、間違いのないよう、マニュアルを確認のうえ、愛車に適したブレーキフルードを選びましょう!

 

画像参考-Unsplash
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