【不朽の名作エンジン】〜エボリューション編〜
ハーレーの歴代エンジンを振り返る【不朽の名作エンジン】シリーズとして、前回はツインカムをご紹介しました。
ツインカムは、高速化の時代に対応するために開発されたエンジンで、高速化=エンジン高回転化=ツインカム化という図式のもとに誕生しました。今回は一つ時代を戻り、ショベルヘッドの後を継いだエボリューションについてご紹介します。
アルミシリンダーを採用したエボリューションは1984年に登場!
パンヘッドから基本構成を受け継ぎ、熱とオイル管理の問題を解決することに取り組んだ意欲作がショベルヘッドでした。しかし、生産管理にやや甘さがあったことや、ショベルヘッドの時代にハーレーがAMFに買収されていたことから、不本意な評価を受けることもありました。
そんなショベルヘッドからバトンを受け取ったのがエボリューションです。エボリューションとは、日本語で「発展」や「進化」を意味し、革新性を押し出したものでした。機構面では、ショベルヘッドの鋳鉄製シリンダーからオールアルミに変更されましたが、腰下は伝統の1カムを維持していました。
一方で、ショベルヘッドでは品質のばらつきを根拠とした悪評が立ったため、開発期間をしっかり取り、日本車に負けないフルスロットル耐久テストや走行テストが実施されました。
こうして開発された新エンジンであるエボリューションは、1984年にソフテイルに搭載されて登場しました。
ソフテイルは、今やハーレーの代名詞ともなっていますが、ハードテイル=リジッドフレームに見えるのにサスペンションを装備した機構を持つ車体です。進化したエンジンを搭載するのにふさわしい車体であり、見事に現在まで受け継がれています。
エボリューションも年を追うごとに進化した!
1984年に登場したエボリューションですが、1985年には湿式クラッチが採用されました。次の大きな変化は1990年で、ケーヒン製CVキャブが純正採用されました。それ以降はブリーザーに微修正が加えられたほか、大きな変更はありませんでした。これは信頼性に重きを置いて開発されたエボリューションの優秀さを表していると筆者は考えます。
最後の大きな変更は1995年で、ケーヒンCVキャブに代わり、ついにインジェクションシステムが採用されました。
スポスタエボは1986年に登場!
スポーツスター用エンジンは、ビッグツインとは若干異なるスケジュールで改変されてきたことは、これまでの「不朽の名作エンジン」シリーズでお分かりいただけたと思います。
スポーツスターについては、エボリューションが登場したのは1986年のこと。もともと、エボリューションのアルミ製シリンダーはハーレーのワークスレーサーである「XR」で採用され、研究開発も続けられてきました。ですから、本来的にはスポーツスターへのエボリューションの適用はビッグツインよりも容易だったはずですが、やはりハーレーの看板はビッグツインが背負っているということでしょう。