【不朽の名作エンジン】〜ミルウォーキーエイト編〜

投稿日:2024-07-02

ハーレーの歴代エンジンを振り返る【不朽の名作エンジン】シリーズですが、前回は「ツインカム」をご紹介しました。「ツインカム」はアメリカ本国での高速化に対応するために開発された、高回転対応エンジンで、1999年に生産が開始され2016年まで生産されました。

【不朽の名作エンジン】〜ツインカム編〜

今回は、その「ツインカム」に続いて登場した「ミルウォーキーエイト」についてご紹介します。それはどんなエンジンなのでしょうか?

 

ミルウォーキーエイトは2017年に登場!

今さら言うまでもありませんが、「ミルウォーキーエイト」はハーレーの現行モデルに搭載されている最新のエンジンです。2017年に登場し、当初はツーリング系モデルに搭載されました。

「ミルウォーキーエイト」のミルウォーキーというのは、ハーレーゆかりの土地である“ウィスコンシン州ミルウォーキー”の地名からとられたものです。そして「エイト=8」は、この新エンジンの大きな特徴であるバルブの数を指します。具体的には、1シリンダーに4バルブを搭載しており、2シリンダーで計8バルブです。

 

原点回帰と革新により生まれたミルウォーキーエイト

MY17 107 Engine. Milwaukee Eight.

ていました。一方で、時代はモアパワー、熱対策、低振動、を求めていました。 「ミルウォーキーエイト」の前に登場した「ツインカム」は、高速化に対応すべく誕生し、その目標を確実に実現しました。しかし時代が進むにつれ、さらなるパワー、熱対策、低振動が求められるようになりました。そこで新たに開発されたのが「ミルウォーキーエイト」です。

「ミルウォーキーエイト107」の排気量は1,745ccで、ナックル、パン、ショベル、エボ、ツインカム、と、進化するたびに排気量を拡大し続けたハーレーの新エンジンですが、「ミルウォーキーエイト」もその例に漏れず、高出力化を実現しています。

また、再びシングルカムに原点回帰したことも「ミルウォーキーエイト」の大きな特徴です。ツインカム化はエンジンの進化の一環として正しい選択でしたが、シングルカムでもモアパワー、熱対策、低振動を実現できると判断されたのでしょう。

 

革新の要素

革新の一環として、「ミルウォーキーエイト」では8バルブ化を採用し、吸排気効率を高めました。また、ツインプラグ化も行われ、燃焼効率の向上が図られています。

熱対策としては、エンジンオイル量が増加しました。これは、非ツインクールド型エンジンにおいて排気バルブ周りにオイルラインを設けたためで、走行風だけでなくオイルでも積極的にエンジンの冷却ができるようになりました。この機構により、いわば油冷エンジンとも言える形となりました。

低振動対策としては、すべてのエンジンにバランサーが搭載されました。「ツインカムB」ではフライホイールの前後にバランサーが搭載されていましたが、「ミルウォーキーエイト」では前側のみに設置されるようになりました。なお、ソフテイルファミリーに搭載される「ミルウォーキーエイト」では前後にバランサーが設置されています。

以上のことから現行エンジン「ミルウォーキーエイト」は、原点回帰のシングルカム化と、革新の8バルブ化、ツインプラグ化、新オイルラインにより、モアパワー、熱対策、振動対策を実現したエンジンです。

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