バイクで起こる〇〇現象~エンジンブロー、オーバーヒート、オーバークール

このコラムでは、バイクで起こる様々な現象を随時ご紹介しています。前回は「ハイサイド」を取り上げましたが、今回は「エンジンに関するいくつかの現象」、すなわちエンジンブロー、オーバーヒート、オーバークールについて解説します。
エンジンブローとは
エンジンブローとは、ピストン、コンロッド、バルブなどが破損し、エンジンが動かなくなることを指します。後述するオーバーヒートやオーバークールとは異なり、より深刻な状態です。
エンジンブローは予兆を察知して防ぐべき!
エンジンブローは、通常、突発的に起こるものではありません。ピストンが焼き付く前に、激しいオイル漏れやガスケットの抜けなどの症状が現れます。
ごく稀に、バルブやバルブスプリングの破損といった例外もありますが、多くの場合は予兆があります。例えば、以下の様な症状が現れます。これらの症状が現れたら、走行を停止し、プロショップにご相談することをお勧めします。
・オイル漏れ
・冷却水漏れ
・ガスケット抜け
・ブローバイホースから白煙が出る
・排気ガスが白煙になる
・排気ガスの臭いがいつもと違う、
・エンジンの異音
・加速が悪い
エンジンブローは定期的なメンテナンスで防ぎましょう!
走行中にエンジンブローすると大変危険です。上記のような症状が現れないよう、走行中のエンジンブローを防ぐには、定期的なメンテナンスが重要です。
オイル交換を定期的に実施し、オイル漏れ、冷却水漏れ、ガスケットの抜けがないかを確認しましょう。また、必要に応じて修理を行うことも重要です。
オーバーヒートとは
次に、オーバーヒートについて説明します。
一般的なハーレーダビッドソンの冷却方式は空冷です。また大排気量であるため、ハーレーのエンジンは冷却能力にやや不安があると言えます。空冷エンジンは走行風でエンジンを冷却する方式だからです。
しかし、エンジンは一定範囲内の温度で運転されるよう設計されています。この設定温度範囲を超えた状態がオーバーヒートです。
症状としては、エンジンからの異音、アイドリング不良、高回転に達しないなどの初期症状から、最悪の場合、エンジンの焼き付き=エンジンブローに至ります。
オーバーヒートの予防にも定期的なメンテナンスが有効!
オーバーヒートを放置して乗り続けると、エンジンブローに至るため、オーバーヒートの症状を察知したら、メンテナンスが必要です。
エンジンの状態が良好であれば、酷暑の日に長時間渋滞に巻き込まれるなど、極めて厳しい状況でない限り、簡単にオーバーヒートすることはありません。
一方、真夏のオーバーヒートに関しては、オイルの状態が重要になります。真夏に長時間渋滞に巻き込まれる予定がある場合は、夏向けのオイルへの交換をお勧めします。
オーバークールとは
最後にオーバークールについて説明します。ハーレーダビッドソンとはやや縁遠い現象ですが、これは基本的に水冷エンジンで起こるエンジントラブルです。
オーバーヒートとは逆に、エンジンが設定温度に達しない状態です。稀に、エンジンオイルの温度が上がらなくなることもあります。
まず疑うべきはサーモスタットです。サーモスタットが故障し、冷却水の弁が開いたままになり、エンジンの温度が上がらない場合があります。
次に、ラジエーターをカスタムしている場合は、それを疑いましょう。高性能すぎるラジエーターを搭載すると、稀に適正温度に達しないことがあります。
これらの原因でなければ、プロショップにご相談することをお勧めします。オーバークールもオーバーヒートと同様に危険な症状であるため、不安を感じたら専門家に任せるのが最善です。