夏の紫外線でボロボロに?レザー製シート・レザー製グリップのケア方法
強い日差しを浴び続けた夏の後、ふとシートやグリップを触ってみると、なんだかカサついていたり、色が変わっていたり…そんな経験はありませんか?
金属パーツのお手入れは意識していても、レザーシートやグリップといった「触れるパーツ」のケアは後回しにされがちです。
しかし紫外線は、革やゴムにとって想像以上に過酷なダメージ要因。今回は、夏を越したレザー・グリップ製品を秋以降も長く使うためのケア方法を紹介します。
紫外線がレザーに与えるダメージ
なぜ、夏が終わる時期になると、バイクの革製品やゴム製品の状態が一気に悪くなってしまうのでしょうか?その大きな要因のひとつが、太陽から降り注ぐ紫外線です。
紫外線の影響というと、人間の肌の日焼けやシミ・シワをイメージされる方が多いかもしれません。しかし、バイクのパーツに使われている「本革」「人工皮革」「ラバー(ゴム)」にとっても、紫外線は天敵といえる存在なのです。
ここでは、紫外線がパーツにどのようなダメージを与えるのか、そのメカニズムを少し掘り下げて解説します。
油分と水分が奪われ「砂漠化」するメカニズム
革製品やゴム製品がしなやかで心地よい肌触りを保っていられるのは、素材の内部に適切な量の「油分」と「水分」が含まれているからです。
しかし、夏の強い紫外線を長時間浴び続けると、そのエネルギーによって素材内部の水分が急速に蒸発します。それだけでなく、素材の柔軟性を保持している油分までもが熱や光化学反応によって分解・変質し、失われてしまうのです。
いわば、パーツの表面が「カラカラの砂漠状態」になってしまうということです。油分と水分が抜けた素材には、以下のような段階的ダメージが発生します。
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初期段階(乾燥・色あせ): ツヤが消え、カサカサとした触り心地になります。黒かった革やゴムが少し白っぽく退色したり、茶色く変色したりするのもこの時期です。
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中期段階(硬化・伸縮性の低下): 油分が完全に不足すると、素材自体が硬くなります。グリップであれば「固くて手が痛い」、シートであれば「しなやかさがなくなり座り心地がゴワゴワする」と感じるようになります。
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末期段階(ひび割れ・亀裂・破れ): 硬化した状態でバイカーの体重がかかったり、エンジンの振動を受けたりすることで、素材の表面に耐えきれず亀裂が入ります。一度ひび割れたシートは、そこから雨水が侵入して中のウレタン(スポンジ)まで傷めてしまうため、修理費用も跳ね上がってしまいます。
このように、「ただ乗っていただけ」のつもりでも、夏の紫外線はパーツの寿命を確実に縮めています。「乗りっぱなし」にせず、夏の終わりにしっかりとオイル補給や保湿ケアを行ってあげることが、愛車を傷ませないための大前提なのです。
レザー製シートのケア方法
それでは、具体的なお手入れ方法に入っていきましょう。まずは、ハーレーのシルエットを決定づける重要パーツであるレザーシートのメンテナンスです。とりあえず家にあった革用オイルを塗っておけばいいと思われがちですが、実は順番と塗り方がとても重要になります。正しいステップを踏まないと、かえって革を傷めてしまうこともあるので、ぜひ基本手順を押さえてください。
最初のステップとして絶対に行うべきなのが、丁寧な汚れ落としです。革のお手入れで絶対にやってはいけないのが、汚れがついたままオイルを塗ることです。夏の間、シートには汗や衣服の擦れ、埃や泥、さらには道路から跳ね上がった油分など、目に見えない汚れがたくさん付着しています。この上から直接オイルを塗ってしまうと、汚れを油分でコーティングして革の奥深くに閉じ込めることになり、カビや黒ずみ、劣化の加速につながってしまいます。
まずはシートの縫い目や段差に溜まった細かい砂ホコリを馬毛などの柔らかいブラシで払い出し、そのあとに固く絞った濡れタオルで優しく拭き上げましょう。皮脂汚れが酷い場合は薄めた革専用クリーナーを使い、水拭きをした後は風通しの良い日陰でしっかりと乾かすのがコツです。
シートの汚れが落ちて乾燥したら、いよいよ紫外線によって失われた水分と油分を補う保湿と栄養補給の作業に入ります。ここで当店が心からおすすめしたい万能アイテムが、レザートリートメントの定番であるラナパーです。
ハーレー乗りのなかでも愛用者が多いラナパーですが、人気の理由は蜜ロウやホホバ油といった100%天然素材で作られている点にあります。鉱物油系のオイルに比べてベタつきにくく、革本来の自然な質感とツヤを蘇らせてくれます。さらに、蜜ロウの成分が表面に強い撥水保護膜を作ってくれるため、急な秋雨からもシートを守ってくれる優れものです。
実際に塗る際のコツは、とにかく少量ずつ薄く伸ばすこと。付属のスポンジに、塗っているかわからないくらいの極少量だけ取り、シート全体へ薄く薄く広げていきます。塗りすぎはベタつきやズボンの汚れの原因になるため注意してください。また、本革シートの場合はオイルの種類によって色が濃くなることもあるため、まずはシートの裏側など目立たない場所で試し塗りをすることをおすすめします。全体に塗り終わったら1時間ほど置いてオイルを馴染ませ、仕上げに乾いた綺麗なクロスで表面をサッと乾拭きすれば、サラッとした質感と深いツヤが復活します。
なお、ハーレーの純正シートをはじめ、多くのバイク用シートには合皮(合成皮革)が使われている場合もあります。合皮シートに本革用オイルを塗っても油分が染み込まず、表面がベタついたままになってしまうため、ライディング中に滑りやすくなる恐れがあります。ケアを始める前に、まずはご自身のシートが本革か合皮かを確認しましょう。合皮の場合は、薄めた中性洗剤での拭き掃除と、水拭き・乾拭きのみで仕上げるのが安心です。
グリップのケア方法
続いては、ライディング中、常に手が触れている重要パーツであるグリップのお手入れです。グリップはアクセルワークやステアリング操作に直結するパーツであり、直接安全に関わる部分です。ここも紫外線や夏場の手汗、皮脂によって大きなダメージを受けています。
グリップのメンテナンスで最も重要なのは、使われている素材に応じた正しい手入れを行うことです。最もポピュラーなラバーグリップの場合は、水で薄めた中性洗剤を固く絞ったウエスに含ませて表面の皮脂汚れを拭き取り、そのあと固く絞った水拭きウエスで洗剤分を綺麗に拭き取って乾燥させます。ここで注意したいのが、艶出しのためにシリコンスプレーや保護剤を使わないことです。握る部分に滑る成分を塗ってしまうと、ライディング中に手が滑って思わぬ事故につながるため大変危険です。
ビンテージカスタムなどで人気の高い本革巻きグリップの場合は、レザーシート同様に固く絞った布で汗汚れを拭き取った後、革用コンディショナーを極少量馴染ませます。シート以上に手の平の摩擦を受けるため、塗りすぎに注意し、塗布後は念入りに乾拭きを行って表面がサラサラになっていることを必ず確認してください。なお、耐久性の高い人工皮革グリップの場合は、水拭きや薄めた中性洗剤での拭き上げだけで十分綺麗になります。本革用のオイルを塗っても染み込まないため、無理に塗る必要はありません。
また、ラバーグリップを握った時に、なんだか手に黒いゴムがついたり、表面がモチのようにネバネバしていたりした経験はありませんか。汚れがついているだけかなと洗おうとする方が多いのですが、実はこのベタつきは汚れではありません。紫外線による劣化や、手汗・湿気によるゴムの加水分解などが複合的に進行し、ゴムの分子構造が破壊されているサインなのです。
こうした劣化を起こしたラバーは、表面だけでなくゴムの内部まで進行してしまっています。一度この状態になると、いくら洗剤で洗っても数日後にはまた中から粘着質な成分が染み出してきて、元の状態に戻ることはありません。ベタつくグリップは不快なだけでなく、微妙なアクセルワークを阻害したり手が滑ったりして大変危険です。ベタつきが出たら無理に復活させようとせず、潔く新品に交換するのがプロとしての実践的なアドバイスです。新しいグリップに交換すると、驚くほどバイクの操作感がシャキッとして、毎日のライディングが何倍も楽しくなります。
オールドレーシング グリップ 1インチ ブラック
品番:100-0022
メーカー:GUTS CHROME
価格:¥2,257(税込)
適合:汎用(1インチ用)
オリジナルオールドレーシンググリップです。
どこかビンテージヨーロッパを感じさせるフランジデザイン。高品質なクレイトンラバーを使用し、表面は鋳肌のようなデザインになっていますので見た目だけでなく、手にしっかり馴染みます。
材質:クレイトンラバー
全長:約118mm
フランジ部直径:約46mm
エンド部直径:約35mm
グリップ中央部(最も太い部分):約36mm
場合によりスロットルスリーブをカットする必要があります。
メタルフレーク グリップ レッド
品番:2100-1008
メーカー:GUTS CHROME
価格:¥1,801(税込)
適合:汎用(1インチ用)
「メタルフレーク グリップ レッド」。左右セットです。ハンドル廻りのドレスアップにどうぞ!
まとめ
今回は、夏の間に蓄積した紫外線ダメージから愛車を守り、秋ツーリングを快適に楽しむためのレザーシートとグリップのケア方法をご紹介しました。太陽の光による乾燥や硬化、色あせといったダメージは、放置すればするほど進行し、パーツの寿命を確実に縮めてしまいます。
しかし、今回ご紹介したような日々の小さなケアや季節の終わりのメンテナンスを積み重ねるだけで、お気に入りのパーツを何年も美しい状態で保つことができるのです。輝くメッキパーツや力強いエンジンはもちろんハーレーの象徴ですが、オーナーの肌に直接触れるシートやグリップが美しく手入れされているバイクは、細部まで愛情が行き届いていて本当に格好良いものです。
澄み渡る秋空の下、愛車を気持ちよく走らせるために、この週末は少し時間を作って、シートとグリップも金属パーツと同じくらい大切にケアしてあげてください。



