歴史から紐解く!ハーレーとインディアンってどういう関係なの?

最近、ハーレー好きバイカーにとって気になる存在が、同じアメリカのメーカーであるインディアンではないでしょうか?
そこで今回は、両社の歴史をササっと辿りつつ、その関係についてご紹介してみたいと思います。
ハーレーの歴史
ハーレーの創立は1903年
Harley Davidson “serial number: 1” pic.twitter.com/EeicCc3koF
— Scott Snyder (@Ssnyder1835) 2017年7月30日
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若干21歳の若者William S. Harleyが自転車に搭載するエンジン図面を書き上げたのが1901年。その2年後となる1903年、Arthur とWalter のDavidson兄弟が加わり、総排気量409ccの単気筒エンジンを搭載する第1号モデルが完成しました。
本モデルは、ご覧のように現在も同社ミュージアムに展示されており、SNSなんかでバンバン載せられています。
Harley Davidson’ın ilk motosikleti Model 5-D (V-Twin) 1909 pic.twitter.com/cn7s0k9P0U
— Motosapiens (@MotosapiensTr) 2015年5月30日
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そして1909年には、早くも最初のVツインエンジン搭載モデル、モデル5-Dをリリースしています。
第二次世界大戦前のハーレー
そんなワケで、あっという間に飛ばして行きますが(笑)、1928年にはツインカムエンジンを搭載するJDシリーズを発表!もはや今に通じるハーレースタイルを完成させてしまっています。
翌1929年にはフラットヘッドエンジンを搭載。これは1973年まで生き続ける長寿エンジンの原型でございます。
そして戦前最大のトピックは、1936年にリリースされたEL。
アメリカンモーターサイクルの象徴と言える、ナックルヘッドを搭載しているのでした。
第二次世界大戦後のハーレー
さてさて、第二次世界大戦後は、アルミ製ヘッド&油圧バルブリフターで武装し軟弱になった(冗談です)パンヘッドが1948年に登場したほか……
1957年には、ショベルエンジン搭載のアイアン・スポーツが登場。スポーツスターの源流となるモデルでございます。
こ~んなカスタムマシンさながらのモデルをリリースしたりもしています。
もっとも、会社の経営自体は一時期怪しい頃もありまして、AMF(アメリカンマシンファンダリー)の傘下に入ったりなんかしています。
しかし、その後はAMFからの脱却に成功。エンジンもエボリューションを開発したり……
遂には、こんな水冷4気筒エンジンを開発したりと、進化も続けているのであります。
車体回りでは、何と言っても、ソフテイル系の開発が白眉と言えましょう。
外からソレと分からぬように、こっそりとリアショックを搭載するソフテイル系のシャシーは、ハーレー躍進を陰で支えたと(筆者は個人的に)思っています。
そして現在では、アメリカ大陸横断スペシャルから新たに登場したストリートモデルまでジャンルを広げながらも、アメリカ産モーターサイクルの主役であり続けている。
これがハーレーダビッドソンなのであります。
インディアンの歴史
アメリカ最古のモーターサイクルメーカー
George M. Hendee が自転車製造メーカーとしてHendee Manufacturing Companyを設立したのは1987年のこと。モデル名は”Silver King”、”Silver Queen”、それに”American Indian”があり、これがブランド名インディアンの始まりとなりました。
そして1901年には、ガソリンエンジン搭載のレーサーを製造。翌年には顧客に販売しています。というワケで、インディアンはアメリカ最古のモーターサイクル・メーカーとして知られているのです。
1906年には、アメリカ製として初となるVツインエンジン搭載モデルを発表。欧米のレースでも活躍していました。
第二次世界大戦までのインディアン
1920年には、スカウトを発売。Vツインのサイドバルブエンジン搭載モデルで、このエンジンが後の名車チーフのベースとなりました。
また直列4気筒縦置きエンジン搭載モデルで名を馳せたACEを買収。インディアンのモデルとして販売していたことも、大きなトピックでしょう。
概してインディアンは、ハーレーよりも高性能・先進的であることを、市販車とレース活動で示していました。
第二次世界大戦後のインディアン
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しかし……第二次世界大戦後のインディアンは、販売不振に陥ります。
主力モデルのチーフ(1948年モデルとのこと)は、ご覧のように、今見ても惚れ惚れする出来栄えではありますが、1953年には、スプリングフィールドでの生産を終了。以降、複雑に絡み合った商標権の問題は永年、インディアン復活への試みを幾度も挫折に追い込みました。
1998年には、かつて競合関係にあった各社が合併してインディアン・モーターサイクル社に発展。1999年に生産を始めましたが事業は成功せず、2003年がその会社の最後のモデルイヤーとなりました。
そして2011年、パワースポーツの世界的リーディングカンパニーであるポラリス・インダストリーズ社による新たな経営体制がスタート。アイオワ州スピリットレイクの新工場で生産を開始。これが現在に繋がる新生インディアンでございます。
写真は2014年モデルのスカウト。水冷Vツインエンジン搭載モデルです。
そして2019年モデルとして新たに、FTR 1200 Sを発表。レーシングマシンさながらのルックスと足回り、それにエンジンが魅力のニューモデルです。
インディアンの完全復活を印象付ける1台となりました。
ハーレーとインディアンはライバルではなかった!
いかがでしたでしょうか?今回は、極めて長い両社の歴史を駆け足で紹介する無謀な記事でしたが、こうしてみると、ハーレーは基本的にアメリカの一般ライダーに向けたモデルを、細々とでも作り続けてきたことが分かります。
対するインディアンは、ハーレーとは異なる高級路線を続けて失敗。ポラリスにより立て直された後は、その路線を継続しつつも、より身近で魅力的な市販車をリリースしています。
ということで、ハーレーとインディアンとは、実はライバル関係ではなかったのではないか、と筆者は感じています。皆さんは、どう感じましたか?