BUELLとスポーツスターのエンジンってぶっちゃけ何が違うの?

ハーレー好きの皆さんならば、BUELLを覚えている、あるいは未だに「乗っているよ!」なんていう人も少なくないことでしょう。(主に)ハーレー製エンジンを搭載した、ユニークなスポーツバイクを生産したアメリカン・メーカー。それがBUELLであります。
今回は、そんなBUELLと、搭載していたスポーツスターのエンジンの何が違うのか、についてご紹介しましょう!
そもそもBUELLって何だっけ?
念のためBUELLをおさらいしておきますと……1986年にハーレーの元社員だったエリック・ビューエルさんが立ち上げたメーカー。それがBUELLであります。当初はイギリスはバートン製エンジンを搭載していましたが、その後ハーレーに買収され、ハーレーの公式な一員となりました。その頃は、ハーレー製をチューンしたエンジンを搭載したモデルを作っていました。
当初のビューエルは「RR 1000 Battle Twin」、「RR 1200 Battle Twin」といったレーシングマシンを制作していたのですが、そのユニークな機構が話題となり、次第に市販車を生産・販売するようになった、というのがBUELLの全体的な流れです。
そんな天才、エリック・ビューエル氏は、ビューエル解散後も懲りずにEBR社を、そして現在はFUELLという電動バイクメーカーを立ち上げていることは以前ご紹介した通りです。
スポスタがベースのBUELL!
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さて、いよいよ本題。ハーレーに買収されたことで、ハーレー傘下にはいったBUELL社。そのメリットは、大量生産できるからコストが下がる、エンジン購入コストが下がる、といった面でググっと出てきまして、またハーレーという強力な販売網を使って世界中で広く販売されることになりました。当然、BUELLの市販車は日本でも正規輸入販売されまして、そのがために、今も私達はBUELLを見掛けることができるのであります。
で、そのエンジンですが……ベースはスポスタ。これは間違いありません。基本的に日本で公式販売されたBUELLのツインは、空冷4サイクルOHV2気筒エンジンを搭載。排気量はスポスタと同じ1,203cc。そして最高出力ですが、最初に日本に入って来た「S2/S2T Thunderbolt」は、スポスタ―のエンジンをそのまま搭載していました。
ところが……後年に販売が開始されたネイキッドのスーパースポーツモデル「S1 Lightning」なんかはチューニングされていました。専用ピストンと専用シリンダーヘッド採用による高圧縮比化、エアクリーナーボックスも大型化された結果、なんと最高出力は90馬力にも達しています。
1998年からはサンダーストームエンジンなる名称を与えられた、更なるチューニングエンジンを搭載。こちらはバルブ径を拡大したものであった(と記憶しています……)はずです。で、このサンダーストームエンジンは、ハーレーとして初めて100馬力を越えた、そんな記念すべきエンジンでもありました。このサンダーストームエンジンは「S2」の後継車にも搭載され、スタンダードエンジンとなりました。
そして……「X1ライトニング」というモデルが1999年に発売されました。この車両は「S1」の後継モデルなのですが、そのエンジンはハーレーに特別に制作してもらったビューエル専用エンジンなのであります。ここまでがBUELL第一世代、というふうに考えられています。
BUELL専用エンジンを搭載したモデルも!
詳細は文字数(と筆者の知識)を考慮して控えますが……BUELLは2000年代に入ってしばらくすると、モデルチェンジして、第二世代に入ります。それが「XB9R Firebolt」。この何が違うって……よりビューエルらしさを表現した構成になっておったのであります。それを一言で表現すれば「マスの集中化を実現した車両」ということになるのですが、それに一役かっていたのが、エンジンなのであります。
ビューエルに向けて完全に新設計されたエンジンを採用して、エンジンオイルのタンクをスイングアームに搭載していました。このエンジンは、過去の資料を見ますと、空冷4サイクルOHV2気筒こそ踏襲していましたが、その排気量は984ccとされています。最高出力は92ps / 7,200rpm、最大トルクは9.37kg-m / 5,500rpmでした。パワーダウンかよ、と思われるかも知れませんが、そのホイールベースはわずか1,320mm!スポーツバイクとして見ても極めてコンパクトな車体を実現していたのであります。
BUELL専用エンジンがスポスタエンジンに!
この「XB9R」のエンジンは非常に優秀でして、後にロングストローク化させて「XB12S」や「XB12R」にも搭載されました。また、こんなことを言うと叱られてしまうかも知れませんが……後に、このロングストローク化されたエンジンがスポスタエンジンのベースとして活用されました。
この後、BUELL社はハーレーと決別。前述したEBRとなり、ハーレー以外のエンジンを搭載したりもしましたが……それについては別の話題となりますので、今回はこの辺でお終いとさせて頂きます。
参考-FUELL