今さら聞けない?エンジンのOHVとかSVって何のこと!?

知っている方にとっては当たり前ですが、若いバイカーさんと話していると、時々聞かれるんです。「ショベルってOHVっすか?」とか……
そこで今回は、OHVやSVといった、4ストロークエンジンのバルブ駆動方式についてお話します。
バルブを駆動する方式には何がある?
さて、SV(サイドバルブ)やOHV(オーバー・ヘッド・バルブ)は、4ストロークエンジンのバルブ駆動方式のことであります。現在、世の中に存在する4ストロークエンジンが採用するバルブ駆動方式は、そのほか、OHC(オーバー・ヘッド・カムシャフト)、DOHC(ダブル・(オーバー・ヘッド・カムシャフト)であります。
4ストロークエンジンのバルブ駆動方式とは、どうやって分類されているのか……と申しますと、吸排気バルブの場所、吸排気バルブを駆動するカムシャフトの場所と数。これで決められているのであります。
SV(サイドバルブ)はバルブがシリンダー横にある!

1929年 フラットヘッド
コチラがSVエンジン。吸排気バルブがシリンダー横に配置されているのが分かります。燃焼室に向かって下から上にバルブが置かれています。カムシャフトはクランクケース内に配置されています。そのため燃焼室形式が複雑で高圧縮比化が難しく、その結果、高出力を得にくいです。
が……腰上のメンテが恐ろしく簡単だったり、また頑丈であることも、このSVエンジンの特徴です。圧縮比が低いから、必然的にユッタリ回すエンジンが多かったからですかね?ちなみにベビーツイン系SVは4カムで、これがスポスタにまで引き継がれています。
OHVはバルブがシリンダーヘッドにある!

1936年 ナックルヘッド
続いてはOHV。ハーレーではナックルヘッドから採用されています。コチラもSVエンジンのようにシリンダー横に金属パーツが見えますが、コレはOHVのプッシュロッドトンネル。中に入っているのは、カムシャフトにより駆動されるプッシュロッドというパーツ。クランクの回転は、カムシャフト→プッシュロッド→ロッカーアーム→バルブ…という風に伝えられて、吸排気バルブを駆動するのであります。
このOHVエンジンは何が偉いのかと言えば……それは燃焼室形状がシンプルになるから高圧縮比化ができる。要は、高出力エンジンを作ることができると、そういうわけです。ですからナックル搭載車は、今ではクラシック物件ですが、当時は高性能車だったわけです。
ちなみに、ハーレーのビッグツイン系は、このナックルから、ツインカム88がでるまでずっと、ワンカムでした。

1999年 ツインカム88
バルブ駆動方式からは脱線しますが、ツインカムとなったハーレーエンジンを掲載しておきます。
OHCとDOHCはカムシャフトがシリンダーヘッドにある!

2000年 レボリューション
最後にご紹介するのが、OHCとDOHC。まずOHCですが、OHVの発展形といえます。OHVでバルブはシリンダーヘッドに移されたわけですが、カムシャフトが腰下にあると、カムシャフト→プッシュロッド→ロッカーアーム→バルブと、バルブを駆動するのに、ロッカーアームという長い物体を介さねばなりませんでした。これが、高回転化を阻んでいたわけです。そこで、カムシャフトをシリンダーヘッドに置いてしまえ、ということで生まれたのがOHC(オーバー・ヘッド・カムシャフト)なわけです。
で、このOHCの進化版がDOHC。OHCを更に高回転化するにあたり、吸気バルブと排気バルブとを、別々のカムシャフトで駆動しよう、ということです。このDOHCバルブ駆動を採用していたハーレーエンジンが、レボリューションエンジン。V-RODに搭載されていました。
バルブ駆動方式の変遷はエンジン進化の歴史!
ということで今回は、ハーレーエンジンを題材に、バルブ駆動方式について説明してみました。
こうして振り返ると、ハーレーも亀足ながら、徐々に高出力化を目指して頑張って来たことが分かりますね。