同じ排気量でもボアアップとスロークアップではエンジンフィーリグが全然違う!?

投稿日:2021-03-09

ハーレーの動力性能を上げたいとき、多くの方が最初に手をつけるのは排気系=マフラーでしょう。それから吸気系のチューニング。これは正しい順ではあるのですが、もっとも確実にパワーアップするのは、排気量アップです。今回は、そんな排気量アップにおける二つの手法、ボアアップとストロークアップの違いなどについて、ご紹介して行きましょう。

 

そもそも排気量ってなに???

そもそも排気量とは何か、と申しますと……エンジンが一つのサイクルで吸い込む(あるいは燃やす、排気する)混合気の量、であります。ハーレーは4ストロークエンジンですから、1サイクルでピストンは2往復していますが、そのピストン2往復の間に、片道ごとに「吸気」・「圧縮」・「燃焼」・「排気」という4工程を行っています。この「吸気」あるいは「排気」の量が、排気量であります。この排気量というのは、ピストンの径とピストンの移動量により規定されます。

 

ということで、排気量をアップするには……

・ピストンの径(ボア)を増やす

・ピストンの移動量(ストローク)を増やす

ことになりまして、もう少し踏み込むと……

・ピストンの径(ボア)とピストンの移動量(ストローク)を増やす

という手段を取ることも可能です。

 

ボアアップとストロークアップでフィーリングは違う?

さてさて本題。「ボアアップとストロークアップとでは、同じ排気量なのにエンジンフィーリングが違う」という話を聞いたことがあると思います。コレって本当なのでしょうか? 正解は……本当です。

ここで大切になるのが、ボアストローク比、であります。これがエンジンの特性=性質を決める重要な要素の一つなのです。

・ボア>ストローク:ショートストローク

・ボア=ストローク:スクエア

・ボア<ストローク:ロングストローク

と言われておりまして、ショートストロークエンジンは高回転型、ロングストロークエンジンは低回転型、という基本特性があります。ショートストロークであれば、ピストンとシリンダー間の摩擦損失が少なく、高回転型にしやすい、というのが主な理由です。

このボアストローク比以外にも、カムプロファイル、クランク質量と形状なども、エンジン特性を決める重要な要素なわけですが、個人レベルで行うカスタマイズの場合、そこまで同時に変更する場合は多くありません。ということで、ボアまたはストロークのみを変更して排気量アップした場合は、ボアアップなら元と同じ回転型を維持することになりますが、ストロークアップの場合は、オリジナルと同じような回転域まで回らない、ということも起こり得ます。よりドコドコしたエンジン特性になりやすいのです。

 

市販キットの使用が吉⁉

ということで、今回はボアアップとストロークアップでは同じ排気量でもフィーリングが違うのか、について説明してみました。結論は“違う”です。

で……ボアアップまたはストロークアップを行う際に、純正流用という手段があります。ハーレー純正の同系エンジンのピストンですとか、クランクを使用して、排気量アップを実現する手段です。これ、もちろん上手く行うことができれば、純正クオリティですから信頼性も高く、おススメしたいのですが、上手く行かない場合もあります。

その原因は……先程も少し書きましたが、カムプロファイルや点火時期の違い、あるいは圧縮比をセットアップできない、ということが起こり得るからです。そこら辺までシッカリとリサーチできるなら、純正流用もあり、です。が、出来ないならば、市販キットを使用するのが良いと思われます。

 

品番:K1655

メーカー:Wiseco

価格:¥44,880(税込)

例えば、こちらの「ワイセコXL用ボアアップ ピストンキット」みたいな。こういうのを使用すれば、安心してポン付けができますので。是非、ご検討ください!

ボア径: 1200ccスタンダード
圧縮: 9.5:1
適合:1986-2011年式 XL(スポーツスターモデル)

スポーツスター883ccから1200ccへのボアアップキットです。
ピストンはリバースドームになっていますので、883のヘッドがそのまま使用できます。

キット内容:ピストン(2コ)、ピストンリング(2セット)、ピストンピン(2コ)、サークリップ(2コ)

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