【バイカー基礎知識】点火システムの種類と違いについてのお話

投稿日:2021-04-20

「電装系が苦手……」って方、ベテランバイカーさんでも少なくないことと思います。筆者もそうです。電装系っていうか電気って人の目では見えないですから、分かったような、分からないような……不思議な感覚に陥ってしまいます。

が、こと点火系については、案外、分かりやすかったりします。なので今回は、点火システムの種類とその違いについて、説明して行きたいと思います。

 

点火システムの種類

種類の説明の前に、まずは点火システムの役割について復習しておきましょう。点火システムとは何かと言えば……エンジンで混合気を燃やすための火花を飛ばす仕組み、と言うことができます。なので無闇やたらと火花を飛ばすのではなく、ピストンが圧縮工程にある瞬間に点火する、という作業を行っています。

ということで、如何に正確に、強い火花を飛ばすか、ということで、バイク用点火システムは進化し続けてきたわけでして、以降、その種類を説明して行きます。

 

機械式で触りやすいポイント式

最初にご紹介するのは、旧車乗りにお馴染みのポイント式点火システム。このポイント点火システムでは、エンジン共に回転するガバナーというパーツがありまして、ガバナーはエンジン回転の上昇による遠心力によって開閉します。これによって点火時期を調整しております。

一方、エンジン回転に合わせて回転するカムが、コンタクトブレーカー(ポイント)を開閉することで、回路をオン・オフして、電気を流すか、流さないか、決めるています。この、電流を流す、流さない、を決めている大事な場所がコンタクト「ポイント」であります。ということで、極めて機械的なので、逆に言うと電気について明るくない筆者のような一般人にも馴染みやすいシステムが、ポイント式です。

一方で、コンタクトポイントでカチコチとオン・オフする、ということは、接点の不良が発生することを意味します。なので、ポイント式点火システムでは、時にポイント不良によるエンジン不良に陥ることがあります。これはポイントを修正したり、新品のポイントと交換することで解決します。

 

点火ポイント パン / アーリー OEM 30605-48

品番:MC-PNT1

メーカー:STANDARD MOTOR PRODUCTS

価格:¥990 (税込)

ということで、当店ネットショップでは、ちゃんと旧車愛好家に向けて、ポイントのみをラインアップしています!

パンヘッド / アーリーショベル
1948-69年 ビッグツインモデル
1954-70年 Kモデル / XLモデル(マグネトーモデル除く)

補修用にご使用ください!

 

ブルーストリーク コンデンサー単品

品番: 242405

メーカー:BLUE STREAK

価格:¥1,001(税込)

また、ポイント式点火システムの不具合として発生する可能性があるのが、コンデンサーというパーツであります。このコンデンサーがパンクしてしまうと、エンジンを高速域に回していくと、正しく点火できなくなります。なので新品に交換することになります。

そこで紹介するのは、BLUE STREAK(ブルーストリーク)社製のコンデンサーです。旧車乗りに定評の高品質コンデンサー。

適合:1970-99ビックツインモデル&1971-2003年スポーツスターモデル(ポイント点火の車輌に限ります)。

 

ブルーストリーク ポイント&コンデンサーセット 71-78年(70-99年)

品番:MC-PNT1

メーカー:BLUE STREAK

価格:¥3,025(税込)

BLUE STREAK(ブルーストリーク)社製のポイント&コンデンサーのセット。ポイントとコンデンサーのセット商品もありますので、両方合わせて新品にしておけば、当面は安心して乗れることでしょう!

適合:1970-99ビックツインモデル&1971-2003年スポーツスターモデル(ポイント点火の車輌に限ります。)

 

「点火時期は電気的」なセミトランジスタ式

このポイント式点火システムから一歩進んだのが、セミトランジスタ式。よくセミトラなんて呼ばれる方式です。ポイント式点火システムではコンタクトポイントをカチコチと開けたり閉じたりすることで通電のオン・オフをしていたのですが、エンジン回転をセンサーで読み取って、点火時期は電気信号で伝えようと、そういう仕組みでございます。ハーレーにおいては、1978年後半から1979年まで残った、レアな仕組みです。

ということで、どうやってエンジン回転を読み取っているかというと、ガバナーというパーツがそれを担っています。ガバナーに搭載したトリガーローターをセンサーで拾います。そこから先、ポイントが廃止され、代わりにイグニッションモジュール→イグニッションコイルへと信号が伝えられ、火花が飛ぶ、という仕組みです。

 

ツインテック セミトラキット

品番:9800-3145

メーカー:Daytona Twin Tec

価格:¥26,129(税込)

ということで、ポイント式から進化したセミトラ式へは、このようなキットを用いることで、アップグレードできたりします。

適合は、1970年から1999年のポイント式、セミトラフルトラ点火の車輌。VT-iにはレブリミットがついてますのでエンジンの回しすぎによるダメージを減少します。取り付けには点火時期の調整等が必要ですのでプロショップへご依頼下さい。

 

 セミトラキット ダイナS

品番:DS6-1

メーカー:DYNATEK

価格:¥16,500(税込)

コチラはダイナテック社製。定番のセミトラ点火システム『DYNA S』

適合:1970-99年ビックツインモデル(ツインカムを除く)・1971-03年スポーツスター(1200Sを除く)

こうしたキットを使用することで、ポイントギャップの調整・接点の焼け・コンデンサーのパンクなどメンテナンスが不要になり、また進角を遅らせることで3拍子もかなり出やすくなります。

※5Ωコイルをご使用下さい。配線接続は白が+、青が-です。逆接続は瞬時に本体がパンクし復旧不能のなります。取り付けは必ず付属の日本語取扱説明書を熟読の上、行ってください。

 

エンジン回転も電気的なフルトラ式

最後にご紹介するのは、フルトラ式。フルトランジスタ、の略であります。フルトラになりますと、セミトラではエンジン回転速度を検知していた機械的パーツであるガバナーが廃され、カムシャフトの回転をローターを介してセンサーで読み取り、電気信号としてコンピューターに送る、ということになります。これで、より正確な点火が可能となり、低燃費や高出力化が実現したと……そういうことになります。

一方で、ポイント式であれば、不具合は基本的にはポイントまたはコンデンサーで発生するので、そこを修理すれば「何とか行けそう!」って気がするのですが、セミトラやフルトラですと、ちょっとブラックボックスな感じがします。なので、筆者はポイント式はポイント式のまま、大切に愛して行きたい派です。

そこら辺はお好みやライディングスタイルに応じて、メンテナンス&アップグレードして頂けたらと思います。

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