温度・湿度とキャブレターの調子って関係してるの?

まだまだ暑さが厳しい季節が続きますね……こんな季節、旧車に乗っている方々は、キャブレターセッティングに気を配る必要がありますよね!
ということで今回は、温度・湿度とキャブレターの関係について、お話してみたいと思います。
キャブレターの調子は温度・湿度により変わる!
古くからモーターサイクルに乗っている方であれば、特にレースシーンなんかで、キャブレターセッティングが行われているのを目にしたことがあるのではないでしょうか?結論から言ってしまえば、キャブレターは温度や湿度、それに高度などにより、調子が変わります。
それは何故かを説明しますと……ちょっと難しい話になりますが(といっても高校の化学です)、理想気体の状態方程式というのを理解すると良いです。理想気体の状態方程式というのは……
PV=nRT
という数式で表現される気体の性質であります。ここで使われている各記号の意味は……
P:気圧〔Pa〕
V:体積〔L〕
n:物質量〔mol〕
R:気体定数(8.31×103)〔Pa・L/(K・mol)〕
T:温度〔K〕
です。この式を体積(つまりガソリンが気化する量)を求める形に変形しますと……
V=nRT/P
となります。
もうお分かりですね?ガソリンが気化する量は、温度(T)に比例して(暑くなるほど多くなり)、圧力に反比例する(高地に行けば少なくなる)のであります。だから夏場はキャブレターセッティングを薄い側に変更すると良く、また高地では濃くしてあげると良い、ということになります。
では、湿度はどうかと言いますと……もう数式は面倒だと叱られそうなので省略しますが、混合気の湿度が高くなるとガソリン濃度が高くなり、混合気の湿度が低くなるとガソリン濃度が低くなります。ということで湿度が高いならばキャブレターセッティングは薄く、反対に湿度が低いときは濃く、変更してあげると調子が良くなる、ということです。
ところが……これはサーキットなどに象徴される、パフォーマンスにシビアな場面での話であります。私達一般バイカーがツーリングする分には、気にする必要はない、というのが筆者の見解です。普通の気候下に対応するくらいの範囲で、メーカー側がキャブレターのセッティングを出してくれているからです。
インジェクションでもセッティングは必要なのか?
では、インジェクションの場合は、どうでしょうか?こちらは、吸排気がともに純正であれば、基本的にノータッチで大丈夫です。O2センサーで燃焼状態を感知して、ECUが賢く燃調してくれているからです。
ところが、吸排気系をカスタマイズした場合は、話が違います。純正とは異なる燃調が必要となりますので、インジェクションの場合でもセッティングが必要となります。この作業はプロフェッショナルにお任せするのが一般的です。機会がありましたら、詳しくお話しましょう!