同じ日本でも、地域よっては塗装の色の見え方が違うって知ってた?

投稿日:2025-10-07

私たちハーレーダビッドソンを愛する者にとって、愛車のカラーは自己表現の大切な要素です。純正のソリッドカラーやカスタムペイント、キャンディカラーなど、数ある色の中からじっくり検討して選んだ愛車のカラーには、特別な想いが込められていることでしょう。

しかし、海外のサイトやオークションで気になるクルマやバイク、自転車を購入した際に、「思っていた色と違う……」という経験をされた方も少なくないのではないでしょうか。

実は、「こだわりの色」は、走る地域によって見え方が異なります。今回は、日本の各地域における光の特性と色の見え方の関係、そして愛車のカラーをより魅力的に見せるためのヒントをご紹介します。

 

北海道と沖縄では色の見え方が異なる理由

北海道と沖縄のように、地理的にも気候的にも大きく異なる地域では、愛車の塗装色の見え方も変化します。その主な要因は、太陽光の入射角度と大気の状態です。これは「緯度による光の違い」と言い換えることができます。日本列島は緯度が約20度以上にわたっており、北と南では太陽光の入射角度が大きく異なります。

  • 沖縄(南): 太陽が真上に近いため、太陽光が大気層を通過する距離が短く、光のスペクトルが比較的壊れずに地上に届きます。結果として、色が鮮やかで明るく暖色系が際立って見えやすい傾向があります。

  • 北海道(北): 緯度が高くなるにつれ、太陽光が大気層を通過する距離が長くなります。この過程で、青や紫といった短波長光が散乱・吸収されやすく、結果として色が青みを帯びて見えやすい、またはくすんで見えやすい傾向があります。

さらに、日本海側と太平洋側のように、同じ北と南でも海に面した方角によって色の見え方が異なるという事実もあります。これは、光の特性だけでなく、天候や湿度が色の見え方に大きく影響するためです。

 

日本海側は多湿で曇りがちな天候が多いため、光が拡散されてグレイッシュな色として認識されやすく、色がくすんで見える傾向があります。一方、太平洋側の晴天が多い地域では、光がそのまま届くため、色がクリアで鮮やかに見えやすいのが特徴です。

もし愛車を主に走らせる地域が「北国の曇天が多い日本海側」であれば、沖縄のような強い日差しの下で映える高彩度の明るい色よりも、「落ち着いた濁色系」のカスタムペイントのほうが、景色と調和し深みを増すかもしれません。

 

地域に合わせて映えるカラーを選ぶのもおすすめ!

愛車が最も輝く場所をイメージし、その地域の光の特性を考慮してカラーを選ぶことは、愛車を一層魅力的に見せるテクニックの一つです。中古車選びはもちろん、カスタムペイントの際にもきっと役立つことでしょう。

以下に、地域性を考慮したカラー選びの具体例を見てみましょう。

  1. 南国・南側太平洋岸(沖縄、九州南部、湘南など)

    • 特徴: 強い日差しとクリアな空気。

    • 推奨カラー: キャンディカラーメタリックパールが映える清色。特に暖色系(レッド、オレンジ、ブライトイエロー)は陽光を反射して、驚くほど鮮やかに輝きます。ただし、日焼けによる色あせには注意が必要です。

  2. 北国・北側太平洋岸(北海道、東北北部など)

    • 特徴: 日照時間が短く、光が青みを帯びやすい。

    • 推奨カラー: 寒色系クリアな色(クールなブルー、ピュアホワイト、ジェットブラック)。景色がモノトーンになりがちな冬場でも、色がシャープに際立ち、コントラストを生み出します。

  3. 日本海側(北陸、山陰など)

    • 特徴: 曇天が多く、湿度が高い。光が拡散されグレイッシュ。

    • 推奨カラー: 渋み深みのある濁色マットカラー。例えば、マットブラックアースカラーガンメタリック。光を吸収しすぎず、素材感や質感を際立たせる色が、しっとりとした空気感に調和し、重厚感を増します。

カスタムペイントを依頼する際は、「愛車をどの景色で走らせたいか」をペインターに伝え、その地域の光のシミュレーションをしてもらうと、色選びで失敗しにくくなります。

また、この情報をふまえて海外から車両を輸入する際は、色味に注意が必要です。特に赤道に近い国や乾燥した地域でカスタムされた車両を日本へ持ち込む場合、現地で見た色合いと日本での見え方にギャップが生じることがあります。

たとえば、アメリカ西海岸(カリフォルニアなど)の強い日差しと乾燥した空気のもとでは、鮮やかで明るい色が最も美しく見えるようにペイントされています。西海岸風のタッチで知られるイラストレーター・鈴木英仁先生の作品がきらきらと輝いているのは、実際の西海岸の光を繊細に捉え、描写しているからだとも言えるでしょう。一方で、そうした西海岸発の車両を多湿で曇りの多い日本の地域に持ち込むと、色がくすんで見えたり、派手すぎて違和感を感じたりする場合があります。

海外のカスタムペイントを選ぶ際は、「その色が日本の光の下でどう見えるか」を想像し、可能であれば日本の気候に近い場所で撮影された写真などを参考にすることをおすすめします。

 

おまけ:北海道と沖縄では重力の関係で重さも異なる!

北海道と沖縄では色の見え方が異なるとお伝えしましたが、「重さ」も北海道と沖縄ではわずかに異なります。

これは地球の重力が場所によって異なる「重力異常」という現象によるものです。重力は地球の自転による遠心力や地殻の密度によって変化します。物理学的には、同じ車両を北海道で計ると、沖縄で計るよりもごくわずかに重くなる、ということになります。

もちろん、これは計測機器の誤差レベルであり、私たちが体感できるものではありません。実際に愛車にまたがった際の「重さ」や「乗り味」には全く影響しませんのでご安心ください。

愛車の「重さ」まで地域によって変わる――そんなスケールの大きな話も、豆知識として覚えておくと、また愛車を見る目が少し変わるかもしれませんね!

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