バイクで起こる〇〇現象~かぶる
ハーレーに乗っていて、エンジンが突然止まったり、アイドリングが不安定になったり、アクセルを回しても反応が鈍いという経験はありませんか?それはもしかすると「プラグかぶり」が原因かもしれません。特にキャブレター車や、寒い日にチョークを頻繁に使用するバイクでは注意が必要です。
今回は「バイクで起こる〇〇現象」シリーズとして、「プラグかぶり」の主な症状・原因・対策について、わかりやすくご説明します!
これがプラグかぶりの症状!
プラグかぶりとは、点火プラグの先端にガソリンやオイル、その燃えカスなどが付着し、火花が飛ばなくなってしまう状態を指します。ハーレーの場合、以下のような症状がよく見られます。
・セルは回るのにエンジンが始動しない。一瞬だけかかってすぐに止まってしまう
・ アイドリングが不安定で、片方のシリンダーしか動いていないような状態になる
こうした症状が出ている場合、プラグかぶりの可能性があります。プラグを外して確認してみると、電極や絶縁体が黒くなっており、湿ったように光っていることがあります。乾いた黒ずみであれば「カーボンかぶり」、濡れている場合は「ガソリンかぶり」と呼ばれます。
ちなみに、インジェクション車でもプラグかぶりは発生します。インジェクション車はコンピューターで燃料量を制御していますが、あまり走行しない、バッテリーが弱っている場合などは、エンジンが始動しにくくなり、その結果、濃い混合気がプラグを濡らしてしまうことがあります。
プラグかぶりの主な原因とは?
プラグかぶりは、燃料が過剰(もしくは空気が不足)な状態でエンジンを始動しようとすると発生します。主な原因は大きく「燃料」「点火」「乗り方」の3つに分けられます。
燃料が原因の場合
キャブレター車で特に多いのが、チョークの使いすぎです。寒い朝などにチョークを全開のままアイドリングしていると、ガソリンが多すぎてプラグが濡れ、火花が飛ばなくなります。また、フロートバルブの故障や油面の高さも関係しています。燃料供給が過剰な状態だと、エンジン停止後にもガソリンが気化し、プラグが濡れてしまうことがあります。
点火が原因の場合
プラグ自体の劣化や、コード・コイルの抵抗値が上がっている場合も原因となります。バッテリーが弱って火花が飛びにくい場合も同様です。ハーレーのように振動の多いエンジンだと、プラグコードの先端が緩み、電気の伝達が不安定になり、結果としてかぶりやすくなります。
乗り方が原因の場合
近隣への短距離走行だけを繰り返すのも原因となります。エンジンがしっかり温まる前に停止してしまうと、ガソリンが正常に燃焼せず、次回始動時にプラグを濡らしてしまうことがあります。
プラグかぶりの対策・予防法
まず、応急処置として有効なのは、アクセルを全開にしてセルを数秒回す方法です。これによりシリンダー内の余分なガソリンを排出できます。
それでも改善しない場合は、プラグを外して乾かすのが確実です。布で拭き取るか、ライターなどで軽く炙ってしっかり乾かしてください(火気厳禁の場所で行いましょう)。プラグ穴からも余分なガソリンを飛ばすため、数秒間セルを回してからプラグを戻しましょう。
かぶりを予防するためのポイントは次の通りです。
・チョークの使用は最小限に留め、エンジンがかかったらできるだけ早めにチョークを戻しましょう
・プラグの熱価を高いものに変更するのも効果的です。街乗りや低速走行が多い場合には特に有効です。熱価の高いプラグは汚れにくくなります
・点火系のリフレッシュも効果的です。バッテリーの充電、プラグやプラグコードの交換を行うことで点火が強くなり、特に古いEVOやショベルエンジンでは調子が大きく改善する場合もあります
また、ベテランライダーの間では「チョーク全開でのアイドリングは厳禁」というのは常識です。エンジン始動直後にアクセルを少し煽り、アイドリングが安定したらすぐにチョークを半分戻すだけでも、かぶりはかなり防げます。
ちょっとした工夫でプラグかぶりは防げる
ハーレーのような大排気量・低回転エンジンでのプラグかぶりは珍しいことではありません。しかし、その多くは「ちょっとした扱い方」で防げるものです。
チョークの使い方やエンジンの暖機、点火系や充電系の定期チェックをしっかり行えば、トラブルを未然に防ぐことができます。プラグを乾かして再びエンジンが始動したとき、「ハーレーはまるで生き物のようだ」と感じることでしょう。
ハーレーとの向き合い方やトラブルも楽しみの一つにすることが、ハーレー乗りならではの醍醐味です。

