ハーレーエンジンの歴史~ツインカム96

投稿日:2015-02-27

ハーレーの最新技術がつまったエンジンである「ツインカム96エンジン」は、驚くほどの進化を遂げています。ここでは、現行モデルに搭載されている「ツインカム96エンジン」について紹介します。

ツインカム96エンジン開発秘話

2000年代に入って地球温暖化が深刻化し、その主な原因として二酸化炭素の過剰な排出があげられたため、自動車やバイクの製造には厳しい規制が課せられるようになりました。開発からすでに10年以上が経過したツインカム88エンジンでは、新たに設けられた規制をクリアできないため、ハーレー・ダビットソン社は新しいエンジンの開発に取り掛かりました。そして、2007年に現行モデルに搭載されている「ツインカム96エンジン」が発表されたのです。

ツインカム96エンジンの特徴

ツインカム88エンジンとツインカム96エンジンの最大の違いは排気量です。88ci(1450cc)から96ci(1584cc)にアップしています。
ツインカム88エンジンはメカニズムも大きく異なり、シリンダー内径のボアアップによって排気量をアップさせましたが、ツインカム96エンジンでは、ストロークをアップすることにより排気量のアップを図りました。
ボアアップの方が高回転エンジンになるのですが、ハーレー・ダビットソン社は低回転でのトルク、つまりハーレーらしい粘りのあるエンジンにするために、あえてストロークアップを選択したのです。

ツインカム96エンジンの改良点

変更されたのは、排気量だけではありません。ミッション系にも手が加えられています。まず、2006年のツインカム88エンジン時代にダイナのみに採用されていた6速ミッションが全ファミリーに拡大されました。これにより高速運転時における低回転が可能となり、快適性が向上しています。
同時に機械式のキャブレター方式(ケイヒンCVキャブレーター)から、コンピューターで適切に燃焼効率を制御するインジェクションに変更。環境に配慮した時代にふさわしいエンジンとなりました。
また、スターターが新設計になり、耐久性、始動性が向上しています。そのほかにも、オイル漏れ対策としてプライマリケースを一新。密閉性が向上したうえに、原則的にメンテナンスフリーとなりました。さらに、クラッチが10%程度軽量化され、増加する女性オーナーに対応するだけでなく、街中での走行時の操作が容易になっています。

ツインカム96エンジン搭載車と評価

前述した通り、ツインカム96エンジンは、キャブレター式のエンジンと比較にならないほど乗り心地が向上しています。この進化に対して、「鼓動感がない」、「アイドリングが高い」、「三拍子が出ない」などといった不満を漏らすオールドハーレーファンも少なくありません。
ハーレーのオーナーは新しいエンジンが出ると、それを否定する傾向があります。しかし、新型のエンジンにはハーレー・ダビットソン社の最高の技術が投入されていますので、なぜそのエンジンに至ったのかを考えながら乗ると、その良さに納得することができるでしょう。

「ツインカム96エンジン」は現行モデルに搭載されているだけに、試乗する機会が多いエンジンです。ほかのエンジンとは乗り心地が違いますので、ぜひ一度体験してみることをおすすめします。

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