ハーレーエンジンの歴史~水冷エンジンレボリューション

投稿日:2015-02-27

多くのハーレーが空冷エンジンを搭載する中、V-RODだけは量産モデル初の水冷DOHCエンジン「水冷エンジンレボリューション」を搭載しています。
今回は、ハーレーファンから「異端児」と呼ばれる「水冷エンジンレボリューション」について紹介しましょう。

なぜハーレーは空冷エンジンにこだわるのか

走行によって熱を帯びたエンジンをオーバーヒートさせないための冷却システムには、空冷方式と水冷方式があります。空冷エンジンの冷却は風によるものですが、水冷エンジンは、冷却水を使ってエンジンを冷やします。
1980年代中ごろからバイクメーカー各社は、ハイパワーと排気ガス規制を両立させるために、水冷エンジンを主力に置きはじめました。
しかしハーレーファンは、時代に流されることなく歴史を重ねて熟成された空冷エンジンを支持し続けました。空冷の特徴といえるエンジン回りのフィン、ラジエーターやホースがないすっきりとしたフォルムに、工芸品のような美しさを感じていたのかも知れません。
そのためハーレーは、空冷エンジンでは難しい排気ガス規制や環境問題をクリアしながら、ファンの要望に応え続けました。

水冷エンジンレボリューション開発理由

ハーレーの技術者は、伝統を守りながらも最新技術に挑むことを忘れていません。1990年代半ば、ハーレーは、アルミツインチューブフレームに水冷Vツインエンジンを包み込んだVR1000でAMAスーパーバイクレースに参戦していました。その時のエンジンが、水冷エンジンレボリューションの原点と言えるでしょう。
スポーツカーとして定評のあるポルシェに、パワートレーン系やエンジン試験の分析などの協力を得て、1250㏄DOHCの「水冷エンジンレボリューション」を開発しました。
2002年には、ハーレー唯一の水冷エンジンを搭載したV-RODをリリース。新しい時代の幕開けとなりました。

水冷エンジンレボリューションの評価

満を持して登場した水冷エンジンレボリューションですが、残念ながらハーレーファンを魅了したとは言い難い状況です。正規代理店に展示車両があまりなく、試乗する機会も少ないので、良さが伝わりにくいのかも知れません。
また、水冷エンジンを搭載したハイパワーマシーンなら、国内外を問わず多数リリースされているので、ハーレーにこだわる必要がなく、購買意欲が湧かないのも理由のひとつでしょう。
しかし、せっかくの意欲作が埋もれさせてしまうのは勿体ない。機会があればぜひ試乗して、ハーレーの進化を体感してください。

孤軍奮闘していた唯一の水冷エンジンV-RODにも、ようやく仲間ができました。2013年11月に、イタリア・ミラノで開催されたモーターサイクルショーで発表された水冷モデル「ストリート750」が、2015年に日本でも販売されることが決定しました。
新型の水冷エンジンは、「レボリューションX」と名付けられ、今までとは異なる若い層をターゲットにしています。生産国がインドと言うのも、今までのハーレーのイメージを覆します。
V-RODは人気モデルにはなり得ませんでしたが、レボリューションXを搭載したストリート750が、新しいハーレーの顔となるのか、今後の動向が気になります。

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