ハーレーエンジンの歴史~ツインカム88

投稿日:2015-02-27

ハーレーの歴代の中でも、躍進的な進化を遂げたエンジンといえば、「ツインカム88」ですよね。
ここでは、現行エンジンの基礎となった「ツインカム88エンジン」について紹介します。

ツインカム88エンジン開発秘話

1990年代にアメリカでは速度制限の変更がされ、それまで55mph(約90km/h)だった最高速度が65~75mph(100~120km/h)へと引き上げられました。
それまでの主力であるエボリューションエンジンでも充分に対応できる速度なのですが、広大な土地をライディングするアメリカのライダーは、さらなるパワーを求めました。そして、1999年に「ツインカム88エンジン」が生まれたのです。ツインカム88エンジンは、ハーレーファンの期待に応えるため、ナックルヘッドエンジンから脈々と続いたエンジンを完全にリニューアルした新たなエンジンとなりました。

ツインカム88エンジンの特徴

パワーアップを図るためには、日本製のバイクのように水冷4ストローク4気筒エンジンが最適なのですが、ハーレーは脈々と続いた伝統の空冷45度Vツインオーバー・ヘッド・バルブエンジン(以下OHV)を手放しませんでした。
ツインカム88エンジンは、ボアを約6.5mm拡大、ストロークを約6.4mm短縮して、ショートストローク化。それまでのワンカム構造からツインカムへと進化することで、トルクフルで高回転なエンジンを作り出すことに成功しました。排気量も1340ccから1450ccに拡大されています。さらに1550ccへボアアップできる純正オプションキットも用意されるなど、その後もパワーアップできる余地を設けています。
燃料の燃焼面でも工夫がなされ、厳しい排気ガス規制もクリアしています。

ツインカム88エンジンのネーミング由来

ツインカムはエンジンの構造、88は排気量を表しています。ここではわかりやすいようにccで表示していますが、ハーレー・ダビットソン社では排気量の単位をキュービックインチ(以下ci)で表します。1ciは、約16.378ccであり、ツインカム88の1450ccは88 ciになります。この88の数字をそのままエンジン名として採用しました。
余談ですが、ハーレー・ダビットソン社はこのエンジンを当初は「ファットヘッド」と呼んでいましたが、残念ながらまったく定着しませんでした。

もう一つのツインカム88エンジン

ツインカム88エンジンは、1999年にツーリングファミリー、ダイナグライドファミリーに搭載されたのちに2000年にソフテイルに搭載され、すべてのビックツインがツインカム88エンジンに統一されました。
他のモデルはエンジンがラバーマウントなのに対し、唯一ソフテイルだけは効果的に振動を打ち消すバランサーを採用していることから、ツインカム88Bを名乗っています。ソフテイルは、エンジンとフレーム、タンクの間に隙間がないため、ラバーマウントでは振動が強すぎて乗りやすさが損なわれるため、スタイルと機能を両立させるためにバランサーが採用されました。ツインカム88Bは、ソフテイルのためだけのスペシャルなエンジンなのです。

現行モデルの礎を築いた「ツインカム88」は、いまだに多くのハーレーオーナーに愛される人気のエンジンです。
まだまだ、試乗するチャンスの多いエンジンですので、一度その乗り心地を体験してみると良いでしょう。

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