ハーレーエンジンの歴史~エボリューション

投稿日:2015-02-27

車名やファミリーのみならず、年代によるエンジンの形式でバイクをカテゴライズするのもハーレーの特徴と言えます。
ここでは、ハーレー新時代の幕開けとなった「エボリューションエンジン」について紹介します。

エボリューションエンジン開発秘話

1969年にAMFに買収されたハーレー・ダビットソン社は、品質管理の問題から故障が相次ぎ、「暗黒時代」と揶揄されるほど大きく信用を落とします。
1981年、現状を見かねたハーレー社の有志が立ち上がり、「ハーレー・ダビッドソンは、ハーレー・ダビッドソンを愛する者で作る」という精神のもと、AMFより株式を買い戻して独立し、新たな経営を目指すことになります。
経営を安定させるには、台頭していた日本製バイクに匹敵するハーレーの開発が必須です。そんな運命を背負って1984年に開発されたのが、「発展」や「進化」の意味を持つオールアルミのニューエンジン、「エボリューションエンジン」です。

エボリューションエンジンの特性

ショベルヘッドエンジンのパーツを流用したため、「エボショベル」と言われることもありますが、ショベルヘッドの焼き直しでは決してありません。
耐久性を飛躍的にアップさせることで、ハーレーに付き物と言われたオイル漏れを激減させ、「ハーレーは壊れやすい」というイメージを払拭しました。また、排気量アップの際にも余力を残し、さらなるパワーアップを図ることが容易になっています。
それまでのハーレーのエンジンは、ナックル、パン、ショベルと有機的なデザインを共有してきましたが、エボリューションは四角いデザインを採用しています。荒々しさが取れ、マイルドなエンジンになることで、誰にでも扱えるハーレーに変貌したのですが、一部のファンの間では、「ハーレーらしさがなくなった」と嘆く声もあがりました。

エボリューションエンジンの進化

デビューの翌年にあたる1985年には、湿式クラッチを採用。さらに、シリンダーヘッドからクランクケースまで貫通したスタッドボルトを採用することで、剛性を高めています。
1988年から1991年には、CVキャブレターの採用、クランクシャフトの3ピース化、ギアノイズ対策としてギアの変更、5速ミッションの採用と大進化を遂げ、1993年にはブリージングシステムを採用しています。
1995年にはフュエールインジェクション(EFI)システムを採用され、エボリューションエンジンは、その名の通り生産終了まで進化し続けました。

エボリューションエンジンを搭載したモデル

サスペンションが見えないフレームが特徴的な「ソフテイルシリーズFXST」は、エボリューションエンジンと共に登場しました。
1986年にはスポーツスターもエボリューションエンジンを搭載しています。また、1988年にはクラシカルなスプリンガーフォークを装着したソフテイル・スプリンガーが登場。
ダイナシリーズでは、「ダイナ・スタージス」、ソフテイルでは「ファットボーイ」が登場しています。この時代の人気モデルにこぞって搭載されたことが、エボリューションエンジンが高性能であった証だと言えるでしょう。

現在でも、エボリューションを搭載したハーレーに乗るオーナーが多く、中古車が多く流通しています。
ただし、すでに生産終了となっているエンジンですので、乗ってみたいと思っている方は、早めに購入を検討することをおすすめします。

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