ハーレーエンジンの歴史~ショベルヘッド

投稿日:2015-02-27

ここでは、オーバー・ヘッド・バルブエンジン(以下OHV)の第三世代エンジンである「ショベルヘッドエンジン」について紹介します。

ショベルヘッドエンジン開発秘話

1950年代後半に突入すると、アメリカのモーターサイクル市場に新たな波が起こりました。ライバルだったインディアン社が倒産し、かつてハーレーを脅かしたイギリスのバイクに変わり、日本のバイクが人気を博すようになりました。1948年に登場したパンヘッドエンジンでは、高性能で品質の良い日本のバイクに太刀打ちできなかったのです。
そんな事情からOHV第三世代エンジンの開発が始まりました。1966年に満を持して誕生した新型エンジンは、ロッカーアームのカバーがショベル(スコップ)に似ていることから「ショベルヘッド」と名づけられました。

ショベルヘッドエンジンの特徴

1966年から1984年までの長きに渡り製造されたショベルヘッドエンジンは、年代ごとに3つの特徴があります。
1966年から1969年まではアーリーショベルと呼ばれ、パンヘッドのクランクケースに新開発のシリンダーを載せたエンジンになっています。
1970年から1977年までは、発電装置がダイナモからオルタネーターに変更されるなど、電装系が大幅に改良されています。この時代には1200ccのショベルや、のちに名車と呼ばれる初代ローライダー(FXS)が発売されました。
1978年以降は排気量を1340ccにアップし、1984年にエボリューションエンジンにバトンを渡すまで、主力エンジンとしての座を守りました。

ショベルヘッドエンジン時代の出来事

ショベルヘッドエンジンは歴代のエンジンの中で、トルクやフィーリングなどが一番ハーレーらしいと評価される一方で、「よく壊れるエンジン」として認識されています。そういった悪いイメージが定着しまったのには、当時のハーレーを取り巻く環境が大きく関係しています。
1969年にハーレー・ダビットソン社は、深刻な経営危機に陥りました。生き残りを賭けて選んだのは、大手機械メーカーAMF(アメリカンマシン&ファウンドリー)社の傘下に入ることでした。社名も「AMFハーレーダビッドソン」と改め、まさに社運をかけた一大決心でしたが、AMFの合理主義が災いし、故障を多発する結果を招いてしまいます。
その時代に製造されていたのがショベルヘッドだったため、思わぬ悪評を受けることになってしまったのです。なお、故障の原因は製造過程に精密さを欠いたことが原因ではないかと言われています。

映画「イージー・ライダー」が公開

ショベルヘッドエンジンの時代である1969年には、日本でも一躍ハーレーを有名にした映画、「イージー・ライダー」がアメリカで公開されました。残念ながら使用しているハーレーはショベルヘッドエンジンではなく、1965年型のパンヘッドエンジンですが、この映画によってハーレーに憧れを抱いた人も多いでしょう。
今でもレンタルDVDなどで見ることができますので、まだ見ていない人はぜひチェックしてみてください。ハーレーのかっこよさが存分に描かれた映画となっています。

ショベルヘッドエンジンは、ハーレー社がAMFの傘下に入るなど、激動の時代に製造されたエンジンです。
耐久性の低さをささやかれる一方で、現在でもショベルヘッドエンジンを搭載したハーレーに乗っている人もおり、評価が分かれるエンジンであると言えるでしょう。

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