半キャップ(ハーフタイプヘルメット)って結局のところ違法なの?

投稿日:2019-02-08

ハーフタイプ(半キャップ)のヘルメットって、ハーレー・バイカーに人気ありますよね?冬は寒いけど……でも一般的なバイカーは、ジェットタイプやフルフェイスのヘルメットを被っています。

結局のところ、半キャップでハーレー乗るのって違法なのでしょうか?今回は真面目に筆者が調べてみました!

 

ヘルメットに関する法律を調べてみた!

まず大元となる法律は……今回は道路交通法でした。大切な部分ですので、そのまま転載させていただきましょう。以下、道路交通法 第七十一条の四です。

第七十一条の四 大型自動二輪車又は普通自動二輪車の運転者は、乗車用ヘルメットをかぶらないで大型自動二輪車若しくは普通自動二輪車を運転し、又は乗車用ヘルメットをかぶらない者を乗車させて大型自動二輪車若しくは普通自動二輪車を運転してはならない。
2 原動機付自転車の運転者は、乗車用ヘルメットをかぶらないで原動機付自転車を運転してはならない。
(中略)
 
 
7 第一項及び第二項の乗車用ヘルメットの基準は、内閣府令で定める。

とあります。コレ、超簡単にまとめてしまうと、「原付を含めて、バイクに乗るときは乗車用ヘルメットを被りましょう」と「乗車用ヘルメットの基準は内閣府令で定めますよ」ということ。

ですので、内閣府令を覗いてみました。これまた大切な部分ですので、原典から該当部分を転載させていただきます。以下、道路交通法施行規則 (昭和三十五年総理府令第六十号) です。すると……

(乗車用ヘルメット)
第九条の五 法第七十一条の四第一項及び第二項の乗車用ヘルメットの基準は、次の各号に定めるとおりとする。
一 左右、上下の視野が十分とれること。
二 風圧によりひさしが垂れて視野を妨げることのない構造であること。
三 著しく聴力を損ねない構造であること。
四 衝撃吸収性があり、かつ、帽体が耐貫通性を有すること。
五 衝撃により容易に脱げないように固定できるあごひもを有すること。
六 重量が二キログラム以下であること。
七 人体を傷つけるおそれがある構造でないこと。

と、記載されているではありませんか!

 

乗車用ヘルメットには別の法律も関係している!

ということで、道路交通法と道路交通法施行規則(昭和三十五年総理府令第六十号) に従えば、どうやら半キャップでハーレーに乗っても、違法ではないみたいなんですね。

しか~し、事をややこしくする、別の法律が定められているのであります。それが消費生活用製品安全法。消費生活用製品による一般消費者の生命又は身体に対する危害の発生の防止を図るため、特定製品の製造、輸入及び販売を規制するとともに消費生活用製品の安全性の確保につき民間事業者の自主的な活動を促進し、もって一般消費者の利益を保護することを目的として、昭和48年に制定されました。

その消費生活用製品に乗車用ヘルメットは位置づけられておりまして、以下のように記載されています。

消費者の生命・身体に対して特に危害を及ぼすおそれが多い製品については、国の定めた技術上の基準に適合した旨のPSCマークがないと販売できず、マークのない製品が市中に出回った時は、国は製造事業者等に回収等の措置を命ずることができます。これらの規制対象品目は、自己確認が義務づけられている特定製品と、その中でさらに第三者機関の検査が義務付けられている特別特定製品があります。

ちなみに乗車用ヘルメットは、自己確認が義務づけられている特定製品です。ただし、よくよく読めば分かりますけど、コレって製造・輸入および販売を規制する法律でしかないのです。決してPSCマークの無いヘルメットの使用を禁止しているワケではないのです。

ですので……個人輸入で手に入れた海外規格のヘルメットとか、自作ヘルメットだって、そして半キャップであっても、上掲の内閣府令に適合さえしていれば、法律上は問題ないことになります。逆に言えば、製造・輸入および販売をする事業者は、PSCマークを取得したヘルメットだけを取り扱っている、ということになります。

 

更にヤヤコシイのが規格なのだ!

やれやれ、これで解決!とはいかないのが半キャップ問題なのです。内閣府令を読んだとき、数値で表現されてないなって気付きませんでしたか?そう、例えば「衝撃吸収性があり、かつ、帽体が耐貫通性を有すること」なんか、どう証明しろっていうのよって話が出てくるのです。

それでですね、PSCマークを取得するにあたって、事業者は自己確認をするのですけど、それも難しいので、第三者機関に委ねることになります。それを行っているのが製品安全協会でして、ここの検査で合格すればPSCマークを取得できるのですが、合わせてSGマークってのも取得できる。製造・輸入・販売にあたってSGマーク取得は義務ではないのですが、一般社会における通りが良いので、これを合わせて取得する場合がほとんどとなっています。

(その他、乗用車用ヘルメットとして、JIS規格とか、日本モーターサイクルスポーツ協会が制定した競技対応規格であるMFJ規格なんてものもありますが、半キャップ問題とは関係ないので割愛します)

さてさて、徐々に半キャップ違法問題の核心に近づいて来ました。PSCマークには、「125cc以下限定」と「排気量無制限」の二種類の基準があるのです。それでですね、半キャップのヘルメットは(筆者が知る限り)「125cc以下限定」に該当しています。つまり、【半キャップはPSCマークによっては、内閣府令への適合が認められていないのではないか疑惑】が出てくるのです。

 

ハーレーに半キャップは違法なのか?

ということで、今回はメチャ長かったですが、ようやく、まとめに入ります。

道路交通法:バイクに乗るときはヘルメットを被りましょう。どんなヘルメットかは、内閣府令で定めるね!

内閣府令:(概念的に)乗車用ヘルメットとは、バイクに乗るのに適した安全性を有するヘルメットだよ!

PSCマーク:「125cc以下限定」と「排気量無制限」に分けて、安全性を有するか、認定しますよ!

ということ。ですから厳密に言えば……PSCマーク「125cc以下限定」だと違法の可能性が極めて高いってことになります。ただし……「俺が安全性を客観的に証明できる!」と断言し実行できるならば、(警察さんの立場からすれば)即座に違反と断定するのも面倒だ……という感じでしょうか?

最後に、事故時の保険なんかで不利になる可能性がある、ということも、記しておきます。

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