【アイアン】ショベルヘッドスポーツ時代の系譜

投稿日:2019-06-25

すっかり旧車の仲間入りを果たしたショベルヘッド……なんて書くと筆者のお歳がバレてしまいそうですが……とりわけマニアックなファンが多いのが、ショベルスポーツ。ショベルヘッドのスポーツスターでございます。

そこで今回は、このショベルヘッド・スポーツの系譜を駆け足で辿ってみたいと思います。

 

ショベルヘッド・スポーツスターのご先祖は?

さてさて、ご存知の方にとっては今更感が半端ないかも知れませんが、ショベルヘッド・スポーツスター、というかスポーツスターの原型となったモデルは、この「K Model」でございます。その源流をさらに辿るとベビーツイン系のサイドバルブエンジン搭載車になるのですけど、寄り道が過ぎるので止めておきます。

さて、スポーツスター直系のご先祖である「K Model」、その誕生は1952年のことでした。大きな特徴は、バルブ駆動はベビーツインから継続してサイドバルブでしたが、エンジンとトランスミッションが一体化されたこと。コレが以降のスポーツスターへと続いて行くのであります。エンジンは総排気量750cc、最高出力30馬力と、実に可愛らしいのであります。

 

また車体周りも、リアショックが2本になっており、同年代のビッグツインと比較して、スポーティな作りとされています。この「K Model」は、当時ヨーロッパからなだれ込んでいたトライアンフやBSA、ノートンといったスポーティなツインモデルに対抗すべくハーレーが開発した、渾身の一台であったわけです。

サイドバルブでしたが排気量は750ccと、ライバルより若干大きく、扱いやすさと耐久性では負けていませんでした。ちなみに4カムであるところからも、ベビーツイン直系であることが伺い知れます。

また、この「K Model」から採用されたシンプルなフレームはKフレームと呼ばれ、ショベルヘッド・スポーツスターを支えて行くことになりました。

 

最初のスポーツスター誕生は1957年!

「K Model」登場から5年後となる1957年、そのサイドバルブエンジンをOHV化した「XL」が登場しました。で、この「XL」こそが、スポーツスターの名を冠した最初のモデルなのであります。

 

そのエンジンですが、腰下の構成は「K Model」を踏襲した一体式。そして排気量ですが、883ccとされていました。実は、「K Model」との間に「KH」というサイドバルブエンジン搭載モデルがあり、そこから883ccなのですが……省略します。

最高出力は42馬力、最高速度は164km / hでありました。

 

続いて「XL」の車体を見てみますと、フレームは「K Model」から続くKフレーム。前後ブレーキがドラムだったり、ヘッドライトが巨大だったり、それにマフラーがキャブトン風だったりと、今見ると可愛らしい仕上がりですが、これでも当時は充分にスポーティでした。

この後、コンペティションモデルの「XLC」、高圧縮比なツアラーモデル「XLH」が登場しています。軽快な装備でオフロードでの走破性も高い「XLCH」は59年より公道仕様も発売されました。

 

スポーツスターでモータースポーツ!

さて、そんなショベルヘッド・スポーツスターなのですが、ハーレーは、それをベースにモータースポーツに挑みました。それに供されたのが、この名車「XR750」。フラットトラックレーサーでございます。

この「XR」を模したスポスタカスタムは、今では一つの定番となっているのです。

 

ショベルヘッド・スポーツスターの新しいカタチ

そして……過去記事でも紹介しましたが、ショベルヘッド・スポーツスターの新しい形として提案されたのが「XLCR」。

 

1977年にWillie G.デザインにより開発販売されたモデルでございます。「XLCR」の“CR”とは、もちろん”Cafe Racer”の頭文字。その名の通り、ビキニカウル+シングルシートにキャストホイール、排気系を含めてブラックで統一されたカラーリングは今見ても実に新鮮。カフェレーサーそのもの、といった感じです。

ちなみにWillie G. というのは、ハーレー創業者直系の孫にあたるウィリアム・G・ダビッドソン氏。ハーレーのブランディングに欠かせぬ存在として扱われつつも、デザイナーとして新鮮なモデルを手掛け、多くの名車を残した人物でございます。

 

フレームは本モデルよりKフレームから変更され、CRフレームとなっています。Kフレームのシンプルさが失われてカスタムしにくくなった、などと言われますが、これは時代の変遷とともに必要とされる強度が上がってきたための処置。やむを得ないのでありました。

またフロントブレーキもダブルディスク化されておりまして、ハーレーとて、時代と共にアップデートされていることを示すモデルでもあります。

 

 

そして1986年からは、オールアルミ製のエボリューションにモデルチェンジして、現在に至るのが、ショベルヘッド・スポーツスターの系譜でございます。

以上、駆け足で辿ってみました!

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