ステンレス、アルミ、真鍮、それぞれの素材のメリット・デメリットをおさらい!

投稿日:2019-06-28

「やっぱりハンドルはアルミ製よりステンレス製でしょう!」とか「真鍮削り出しナットが渋くて好きだな……」なんて言うと、ちょっと物知りな感じがしてカッコ良かったりするのですが……皆さん、ステンレス、アルミ、真鍮のメリット・デメリットをご存知でしょうか?

なんとなく、ステンレスは錆びにくい、アルミは軽い、真鍮は重厚感がある、なんてイメージがあると思いますが、それぞれ本当はどんな特徴を持っているのか、それを今回はご紹介してみたいと思います。

 

ステンレス・アルミ・真鍮は、合金なのだ!

さて、今回は、ステンレス・アルミ・真鍮を取り上げますが、その大前提として、「私達が触れる製品は合金である」ということを知っておいてください。小学生のころ、純アルミに触れた記憶がある方もいらっしゃるかと思いますが、製品としてアルミを活用するにあたって、その純アルミニウムは何某かの元素と混ぜ合わされて、合金となっています。なので”アルミ製ハンドル”などと言っても、何との合金なのかは、私達一般ユーザーには分からないのです。

一方で、何と混ぜ合わされているか、その素材を表記する決まりもあります。お馴染みのJIS規格です。自転車が好きな方はご存知だと思いますが、自転車のアルミフレームでは、広く「A6000系」というアルミニウム合金が使われています。この”A”はアルミニウム合金であることを、そして次の”6”以降で、どんな元素が混ぜられているのかが示されています。ちなみに6000番台のアルミニウム合金は、Al(アルミニウム)にMg(マグネシウム)とSi(シリカ)が添加されたMg-Si系合金です。

モーターサイクルのアルミニウム製フレームには、7000系が広く使われています。7000系のアルミニウム合金は、AlにZn(亜鉛)とMg(マグネシウム)が添加された合金。モーターサイクルのフレームには、強度だけでなく、溶接性やアルマイト性など、実に多くの特性が求められるのですが、7000系合金はアルミニウム合金中で最も強度の高い合金の一つ。だから7000系合金をフレームに採用すれば、アルミ製フレームを採用する一番の目的である軽量化が可能となると、そういう理由があるのだと思われます。

 

ステンレスのメリットとデメリット

さて、私達一般人が触れる金属製品の素材は、ほぼほぼ全てが合金である、ということが分かったところで……ここからは、各素材のメリットとデメリットなどをお伝えして行きます。

まずステンレスですが……これが何かと申しますと……ステンレス協会さんという業界団体のウェブサイトに、以下のように記載があります。

ステンレスは英語でstainless steelと言い、直訳すればステンレス鋼となり、これが日本での正式名称となります。stainlessとは「さびない」と言う意味です。厳密には「さびにくい」という意味も含まれます。

ステンレスは鉄(Fe)を主成分(50%以上)とし、クロム(Cr)を10.5%以上含むさびにくい合金です。

ステンレスは鉄にクロムを足した合金であると、こう理解できます。それでですね、既にご説明しました通り、ステンレス鋼も様々な元素と混ぜられることで色々な特性を与えらていまして、それを表すのが、SUS●×▲、といった表記です。もう面倒なので省略しますね。

で、ステンレス鋼の特徴ですが、この錆びにくい=耐食性が高い、という以外にも色々とメリットがあります。耐熱性・加工性・強度などが高い、という優れた特性です。メンテナンスが容易であることも大きな特徴。さらに、100%リサイクル可能であることも、SDGs(持続可能な開発目標)が話題になる昨今ですが、高く評価されています。

一方で、ステンレス製品と言えば、私達バイカーですと、フェンダーなんかが思い浮かぶのですが、それらはプレス加工により作られます。筆者は専門家ではないので詳しくは分かりませんが、加工時の温度により割れが発生することがあると、そんな記事を何処かで読んだ記憶があります。また溶接個所の性質が変わることで、そこから錆びが発生することもあると。

また、一般的に、ステンレスはアルミよりも比重が大きい。つまり重いのであります。だから軽量化目的だったらアルミの方が良いのです。では、何故ステンレスフェンダーなんてものがあるのかと言えば……一つには強度。そして外観ですね。ステンレスはアルミよりも光沢があり、早い話、カッコいいわけです。

 

アルミニウムのメリットとデメリット

かなり長い記事になってきたので焦っているのですが……次はアルミ。アルミにも色々な種類があるのは上掲の通りですが……ステンレスが鉄ベースの合金であるのに対して、アルミはAlがベース。これは大きな違いです。

日本アルミニウム協会さんによりますと……

アルミニウムの比重は2.7。鉄(7.8)や銅(8.9)と比べると約1/3です。軽量化による性能向上が時代のニーズとなっている今、特に自動車、鉄道車両、航空機、船舶、コンテナなどの輸送分野で多くのアルミニウムが使われています。また軽さを生かして、各種機械の高速回転部品や摺動部品の作動効率を高めたり、装置の大型化による重量増加を抑えるなど、さまざまな効果をもたらしています。

ということです。アルミニウムのメリットは、軽さであると、そう言えそうです。さらに、錆びにくいというのも、モーターサイクルパーツに採用される理由としてあげられます。これはアルミニウム自体の性質ではなく、クリアコーティングやアルマイトといった表面処理によるものですが、そうした表面処理を施しやすい、という性質があるのであります。

一方で、一般的にアルミニウムは軟らかい合金であるとされています。ですので、基本的には強度のある部分にアルミニウムを採用するのは難しい。一方で、厳密に強度計算ができるメーカーにとっては、アルミニウムの軽量であるというメリットを生かさない手はない。そこで生まれたのがアルミ製フレームやアルミ製スイングアームなわけです。サードパーティから容易にはアルミ製フレームが登場しないのは、法規制という側面もありますが、こうした理由があるのではないかと思われます。

ということで、まとめ。アルミニウムは軽い。錆びにくい。しかし強度は低い。

 

真鍮のメリットとデメリット

さて最後の真鍮なのですが……これは……ステンレス・アルミニウムと比較すると、マイナー感が否めない合金。ということで、ステンレス協会とアルミニウム協会はあっても、真鍮協会は見当たりませんでした!

その組成ですが、真鍮とは、銅(Cu)と亜鉛(Zn)の合金のうち、特に亜鉛が20%以上のもののことであります。真鍮はJIS規格では銅合金として扱われていまして、材料記号は頭文字Cで始まる4桁記号で表されます。私達日本人にとって最も身近な真鍮といえば……5円玉です。あれが真鍮です。

そのメリットですが、展進性が高い、簡単にいうと加工しやすい。そしてそこそこ強度がある、という特徴があります。また錆びにくいのも真鍮のメリット。厳密には、茶色っぽくなるのですが、それが味として愛されるのはご存知の通りです。また新品時には金のようにピカピカしていて美しい。これも真鍮の特徴です。

一方で、真鍮の比重は8.45ですから、軽量化というメリットはありません。

 

それぞれのメリットとデメリットが活かされている!

ということで、今回は3,000文字を越える入魂の記事となりましたが、これでお終いにしまっす!

実際に私達一般バイカーが素材選びをすることはありませんし、製品選びの際に、ちょっとウンチクを垂れるとカッコいいので(笑)、覚えておいていただけたら幸いです。

 

画像参考-Unsplash
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