【点火の基本】ポイント・セミトラ・フルトラを2分で学ぶ

投稿日:2019-10-22

ハーレーは(概ね)第二次世界大戦前のフラットヘッドやナックルの時代から現在まで、空冷大排気量のVツインエンジンを搭載しているわけで、それが一つのアイデンティティとなっています。ですが、その素材や内部構造それに補器類は、他社と比較すると亀足ながらも、しっかりと進化しています。

そんなわけで今回は、ハーレーの点火系についてご紹介しておきます。お若いバイカーさんはご存知ないかも知れないポイント点火からフルトラまで、ささっと行きます!

 

ポイント点火にはポイントがある!

そもそも点火とは何のことか、と言えば……エンジンの燃焼室に混合器が入り、ピストンが上昇して圧縮されたとき、プラグから火花を飛ばす。それが内燃機関における点火であります。混合器を適切なタイミングで飛ばす、それが大切なのであって、プラグは滅多やたらと点火しまくっているワケではないのです。この点火時期を決める方式が、古くから順番に、ポイント・セミトラ・フルトラへと、進化してきたのであります。

で、一番古くからあるポイント点火です。これはハーレーに限らず、古いバイクには共通して採用されていたもの。現在の基準で考えると点火時期が正確でなかったり、またメンテナンスが必要だったりするので、徐々にセミトラやフルトラに取って代わられたわけですが、逆に言うと、メンテナンスさえしておけばシッカリ働いてくれるので、筆者はポイント式が一番好きだったりもします。

その点火の仕組みですが、エンジン共に回転するガバナーというパーツがありまして、ガバナーはエンジン回転の上昇による遠心力によって開閉します。これが点火時期を調整します。一方、エンジン回転に合わせて回転するカムが、コンタクトブレーカー(ポイント)を開閉することで、回路をオン・オフして、電気を流すか、流さないか、決めると。こういう仕組みであります。

ですので、このコンタクトブレーカーのポイント表面は常に「バチ、バチ」となっているので、ポイント表面が荒れると点火しなくなったりします。それでメンテナンスが必要になるのです。

 

点火ポイント パン / アーリー OEM 30605-48

品番:MC-PNT1

メーカー:STANDARD MOTOR PRODUCTS

価格:¥990 (税込)

ということで、消耗品でもある点火ポイント。当店ネットショップでは、ちゃんと旧車愛好家に向けて、ポイントのみをラインアップしています!

パンヘッド / アーリーショベル
1948-69年 ビッグツインモデル
1954-70年 Kモデル / XLモデル(マグネトーモデル除く)

補修用にご使用ください!

 

ブルーストリーク ポイント&コンデンサーセット 71-78年(70-99年)

品番:MC-PNT1

メーカー:BLUE STREAK

価格:¥3,025(税込)

BLUE STREAK(ブルーストリーク)社製のポイント&コンデンサーセットです。旧車乗りに好評の高品質ポイント・コンデンサーセット。

適合:1970-99年ビッグツインモデル&1971-2003年スポーツスターモデル(ポイント点火の車輌に限ります)。

 

セミトラは点火時期を電気信号で伝える!

ポイント式は、メンテナンスさえしておけば、いきなり死亡する(点火しなくなる)ことがないので、実は信頼性が高かったりするわけですが、それでもやはり世の中はメンテナンスフリーを求めるもの。また、より適したタイミングで点火することで、高出力化や排ガスクリーン化が可能なので、ポイント式は古いと、そういうことになってしまったのです(まぁポイント式でもコンデンサーがパンクしたりすると、死亡することもあるわけですが……)。

そこで登場したのがセミトラであります。これが何かと申しますと……点火時期の決定を電気的に行う、つまりエンジン回転をセンサーで読み取って、点火時期は電気信号で伝えようと、そういう仕組みでございます。ハーレーにおいては、1978年後半から1979年まで残った、レアな仕組みでして、セミという響きからお分かりのように、ちょっぴりメカニカルな要素も残しています。

それがガバナーの存在。エンジン回転数は、ガバナーに搭載したトリガーローターをセンサーで拾います。この部分までが機械的。で、そこから先、ポイントが廃止され、イグニッションモジュール→イグニッションコイルへと信号が伝えられ、火花が飛ぶ、という仕組みです。

 

ツインテック セミトラキット

品番:9800-3145

メーカー:Daytona Twin Tec

価格:¥26,129(税込)

ご覧のように、コンタクトブレーカーが無くなっているのが分かりますね!

適合は、1970年から1999年のポイント式、セミトラフルトラ点火の車輌。VT-iにはレブリミットがついてますのでエンジンの回しすぎによるダメージを減少します。

 

フルトラで完成した点火系!

そして最も新しい仕組みがフルトラ。簡単に言えば、フルトラのガバナーを廃し、カムシャフトの回転をローターを介してセンサーで読み取り、電気信号としてコンピューターに送る、ということであります。

こうなると部品点数も少なくなりますし、またエンジン回転の読み取りも、ガバナーを介さないためより正確になります。高出力化、排ガスのクリーン化には、フルトラは必須だったのです。というと良いことばかりのように感じるかも知れませんが……例えばカムシャフトを社外品に変更したときなどには、コンピューターを触る必要性が生じる、という面倒な手間が生じたりもします。

と言うことで、フルトラが偉い、と勘違いされる方も少なくないと思いますが、筆者は言いたい。ストック状態でポイント式ならば、ポイント式のままが良いのではないでしょうか……まぁ好き好きですけど。

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