FI時代だけど、今さらキャブレターの起源について学ぼう!

投稿日:2021-09-17

令和になってもう何年か経ちましたね……バリバリ昭和世代な筆者にとって、ときに若い人との会話が新鮮だったりします。先日、若いハーレー・バイカーさんと話していたとき「キャブレター?なにそれ??」って言われました。時代の変遷と筆者の老化を感じさせる出来事でありました。

なので今回は、FI時代にある今だからこそ、キャブレターの起源について学んでみたいと思います。

 

世界初のキャブレターは誰が発明したのか?

さてさて、世界で最初の自動車は、1770年頃にフランス人のニコラ・ジョセフ・キュニョーが制作した、蒸気三輪車であることは、周知の事実かと思われます。蒸気機関というのは、いわゆる鉄道の機関車の動力源になっておりまして、石炭を燃やすことで蒸気を発生させ、その力でピストンを動かす、というもの。ということで外燃機関と呼ばれます。が、コレではデカすぎる。個人が移動するための自動車にはそぐわない、ということになります。

一方、内燃機関=エンジンについては、1876年にドイツ人のニコラス・オットーが発明した、というのが定説になっております。いわゆるオットーサイクルと呼ばれるものです。この内燃機関をさらに改良して実用に向いたエンジンを作り、自動車を作ったのが、カール・ベンツであります。

 

1886年にカール・ベンツが制作したサーフェス・キャブレター

1886年1月、ベンツは彼の3輪自動車の特許を申請。その年の11月、水冷単気筒4ストロークエンジンは、排気量0.95L(ボア×ストローク=90×150mm)から、0.75馬力(0.66kW)を400rpmで発生させたそうです。そのときにベンツが搭載したキャブレターがコチラ!アルコールランプの芯と同じように、ガソリンを吸った材から蒸発する混合気を燃焼させていました。

では、キャブレターの起源はカール・ベンツなのかと言えば、そんなことはまったくなく……筆者が調べた範囲では、実はビシッと定説になっていないみたいなのであります。というのも、当然のことながら、オットーのエンジンにもなにがしかの気化器=キャブレターは搭載していたはずですし、もっと言えば、ベルギー人のジャン=ジョゼフ・エティエンヌ・ルノアールは、1860年にルノアール・エンジンを開発しており、これは大量生産された世界初の内燃機関として有名ですが、ルノアールがサーフェス・キャブレターを用いてガソリンを燃料とする試みをしていたことが知られています。

サーフェス・キャブレターをキャブレターの起源とするならば、それは誰が発明したのでしょうか?それはどうやら、アメリカ人のサミュエル・モリーさん!ってことみたいです。この方が、実験中に、テレビン油の蒸気が空気と混合されると爆発性であることを発見。その可能性を認識してエンジンを開発、1824年に未発表の説明を書き、1825年と1826年に修正、そして特許を取得したのだそうです。1826年っていえば、日本ではバリバリの江戸時代ですからね……凄い話です。

 

ハーレー1号車のキャブレターはトマトの空き缶!

さてさて、それではハーレーにキャブレターが搭載されたのは何時からなのか、というと……実は最初から、ってのが正解なんですね。このあまりにも有名な写真=ハーレーの第1号車=The Originでありますが、単気筒にバッチリとキャブレターが搭載されています。このキャブレターには、トマトの空き缶が使用されていた、と言われています。

それにしても、こうして技術の歴史を調べてみると、今ではオットーやダイムラーが偉人ってことになっていますが、それに極めて近い発明を行った人が沢山沢山いたんだなってことが、よく分かりますね。先人達の努力に敬意を表しつつ、終わりにしたいと思います。

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