今更聞けない!ハーレーのバランサーってなんの役割を担っている?

投稿日:2022-10-25

「最近のハーレーのエンジンにはバランサーが搭載されているらしい……」。コレって知識・経験が豊富なハーレー・バイカーさんには常識でしょうが、若い方のなかには、「バランサーってナニ?」って方もいらっしゃるのではないでしょうか?

そこで今回は、最近のハーレーのエンジンに搭載されているバランサーについて、お話していきましょう!

 

ハーレーの魅力は鼓動だが、それが弱点にもなる!

ハーレーの魅力は大排気量のV型2気筒エンジンが生み出す鼓動である、と言われています。もちろん、アメリカンバイク特有のロー&ロングなデザインですとか、もっと精神的に「アメリカンカルチャーの一部だから!」なんていうご意見もあると思いますが、ハーレーのエンジンは唯一無二の存在であり魅力的である、ということは、受け入れていただけると思います。

そんな大排気量V型2気筒エンジンは、同程度の排気量を持つ4気筒エンジンと比較すると、ドコドコとしたフィーリングであり、低回転域でトルクを出し、ユッタリと走行するのに適しています。このドコドコとした感じ=エンジンにおける燃焼を実感できるのがハーレーの魅力なワケですが、実は、このドコドコ=振動を消す、というのがモーターサイクル進化の命題の一つでもありました。

どんなモーターサイクルであっても、快適に走れるエンジン回転数と、「なんとなく不快」というエンジン回転数が存在します。この「不快」の原因が振動です。振動が大きすぎると、不快どころか、走行がままならない、という事態にも進展します。ハーレーの魅力の一つである鼓動は、ハーレーの弱点でもあるわけです。

 

振動を減らして快適に走らせる。それがバランサーの役割!

ですので、この振動を消す・あるいは減らす目的で搭載されているのが、バランサーです。実はバランサーにも種類がありまして、一般的に言われるバランサーというのは一次バランサーのこと。クランクシャフトと逆回転に錘(おもり)を回転させることで、エンジンの一次振動を打ち消そう、というものです。

ただし、この一次バランサーで完全に振動を打ち消せるものではなく、二次バランサーというものを装備する場合があります。こちらはエンジンの2倍の速度で回転するバランスシャフトにより逆方向の振動を発生させて、エンジンの振動をキャンセルします。

ちなみに、ホイールにもバランサーが搭載されいるのをご存知ですか? アチラは、ホイールバランスを取ることで不快な振動を減らすために搭載されています。

 

ハーレーはいつからバランサーを搭載したの?

ご存知の方も多いと思いますが、スポーツスターやダイナ系、それにツーリング系のエンジンには、バランサーは搭載されていません。れらモデルはエンジンと車体の間をラバーマウントすることで振動を吸収する仕組みを採用しています。

問題となったのは、ソフテイル系です。クラシカルな見た目が重要なソフテイル系で振動を打ち消すには、バランサーを搭載するのがベターな策であったのだと言われています。で……バランサーが搭載されたのは、排気量がググっと増えた2000年のツインカム以降のエンジン。これらのエンジンには「ツインカムB」みたいに、B=バランサー搭載が明記されています。

ちなみに、ハーレーが開発した最新エンジンである「レボリューションマックス1250エンジン」には……

 

Pan America Cut-Away-Engine

Pan America Cut-Away-Engine

一次バランサーと二次バランサーとが搭載されています。

前述しましたように、一次バランサーはクランクケースに配置されています。スパイラル形状のチェーン駆動バランサーは、クランクピン、ピストン、コネクティングロッドにより発生する一次振動に対抗する役割を担います。一方の二次バランサーは、カムシャフト間のフロントシリンダーヘッドに配置されています。この小さなバランサーが一次バランサーを補完して、振動をさらに低減させます。

ハーレーによりますと、「レボリューションマックス1250エンジン」のエンジンは、このバランサーは、モーターサイクルが「生きている」と感じるのに十分な振動を保持するように調整されているそうです。

 

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