【不朽の名作エンジン】〜パンヘッド編〜
ハーレーの名作エンジンを紹介する【不朽の名作エンジン】シリーズでは前回、ナックルヘッドをご紹介しました。
ナックルヘッドはアメリカの鉄製エンジンで世界最高峰の性能を獲得したことで伝説となった、とお伝えしました。今回ご紹介するのはパンヘッドです!
パンヘッドはアルミを取り入れて高性能化したエンジン!
1936年に登場したナックルヘッドは、ハーレーがフラットヘッド=SVだったバルブ駆動をOHV化することで高性能化を果たした、と説明しました。シリンダー、シリンダーヘッド、ピストンなどは鋳鉄。腰下をみると、カムシャフトは1本とされていました。
ナックルヘッドは一定の成功を収めたものの、鋳鉄パーツを多用したエンジンであったため、放熱性に問題を抱えていました。また、それにともないオイルによる潤滑が不安定となることも、ナックルヘッドの課題でした。
そこで1948年に登場したのがパンヘッドです。パンとはフライパンのことで、ロッカーカバーの形状がフライパンを逆さまにしたように見えることから名づけられました。最高出力は50psとナックルと同等でしたが、課題だった信頼性を飛躍的に向上させることに成功していました。
空冷4ストロークV型2気筒という構成こそ変わりありませんが、パンヘッドではシリンダーヘッドにアルミを採用。またオイルラインをシリンダー内に通すなど、当時世界最先端を行っていたBMWの技術に着目。これを導入することで、進化を遂げていたのです。
パンヘッドは完成度が高かった!
パンヘッドは1948年に登場しましたが、車体はハードテイルフレーム+スプリンガーフォークという構成でした。写真はその翌年となる1949年にリリースされた「Hydra Glide」。フロントフォークに油圧テレスコピックフォークを採用!パンヘッドによりエンジンの信頼性向上を果たしたハーレーは、車体も進化させ始めたのです。1958年にはリヤ2本サスペンションを装備した「デュオグライド」が登場しました。
ではパンヘッドそのものの進化は、というと、実は大きくは手を加えられることがありませんでした。これはハーレーが怠慢だったわけではなく、パンヘッドの完成度が高かったから、と理解されています。吸気ポートの拡大、ロッカアームへの給油方法の変更、高圧縮ピストンの採用などが行われていますが、一般的かつ分かりやすい進化は、1965年の「エレクトラグライド」の登場。セルモーターが搭載されたのでした。