ナックル&パンヘッドなど旧車の維持費ってどのくらい?
ハーレーの中でも、サイドバルブ、ナックルヘッド、パンヘッド、ショベルヘッドなどの、いわゆる旧車には根強い人気がありますね。現行車にはないデザイン、時代を感じさせるクラシカルな雰囲気、キャブ吸気のエンジン音など、旧車の魅力を挙げ連ねていけば枚挙に暇がありません。
その分、旧車にはプレミアム価格がついていて、現行の新車よりも高い金額で取り引きされることがほとんどです。中には1,000万円を超えるような高価な車両も存在します。それでも旧車を求める声は尽きることはありません。
今は現行車に乗っているけど、いつかは旧車に手を出したい! という方も大勢いることでしょう。ただ、「壊れやすいと聞くし心配だ」と感じている方がほとんどだと思います。
そこで今回は旧車の中でも特に人気の高いナックルヘッド、そしてパンヘッドなどの維持費について語ってみましょう。
所有しているだけでも掛かる費用
以前、「スポーツスターの維持費」についてを当コラムに掲載させていただきましたが、根本的な部分でかかる費用にはそれほど差はありません。
毎年かかる自動車税。大型バイクは昨年から値上がりしたことにより、年間6,000円かかります。
また、2年に一度車検があります。車検には自賠責保険24カ月で1万4,000円ほど、印紙代1,700円…と、ここまではスポーツスターと全く同じです。
しかし、重量税は登録から13年以上になる場合は年間2,200円ですが、18年以上を過ぎている車両は2,500円となります。ナックルヘッドが製造されていたのは1936年〜1947年、パンヘッドは1948年〜1965年ということは…当然、18年どころか半世紀は経っているのですから、車検時には5,000円となります。
車検代に関してもスポーツスターと変わりません。ユーザー車検の場合なら、代書を依頼したり予備車検で光軸を合わせてもらったりしても3万円ほど。バイクショップに頼めば6万円以上は掛かります。年に直せば3万円と税金で3万6,000円は必ず掛かります。
走行距離に比例するガソリン費用
ガソリン代はハイオク限定ですので、概ね140円×走行距離となります。燃費はナックルヘッドだけでも排気量987.6ccのモデルと1,200ccのモデルがあり、パンヘッドに関しても1,000ccと1,200ccの2種類があり、また、装着しているキャブの種類によっても異なるので、大ざっぱな数値にならざるを得ないのですが、概ね1リッターあたり14〜15kmと思って貰えればいいと思います。
スポーツスターでも毎月500キロを走ると仮定しているので、同条件で燃費を14.5km / 1Lとして想定すると、4,827円、年間ベースで5万7,924円になります。単純にスポーツスターよりも燃費の悪さが目立ち、単純にお金がかかりますよね。
他にも消耗品による出費がある
タイヤに関してはリヤが2年に一度交換したとしても、1本2万円として年間1万円。フロントも1本2万円として3年に一度履きかえると年間約6,600円となります。スポーツスターと全く同じペースと思っていいでしょう。
また、3,000キロで一度のオイルを交換するとオイル代が6,845円として、半年に一度のオイル交換で年に2回=1万3,690円がかかります。その他にも年に一度ミッションオイル、オイルフィルターを換え、消耗パーツ代金と合わせて、年間1万5,000円と考えます。
ただし、オイルに関しては、ナックルヘッド、そしてパンヘッドともに構造上からオイル漏れが確定します。したがって、現行のスポーツスターとはかかる金額が大幅に異なります。また、消耗品に関してもそれなりに豊富ですが、現行のスポーツスターとはかかる金額は大幅に異なると言っても過言ではありません。金額が前後する可能性があるので、あくまでも目安としてみていただければと……
月々にかかる維持費を計算
先ほどまでの話をまとめると、
・法定費用:3万6,000円
・ガソリン代:5万7,924円
・タイヤ:1万6,600円
・オイル:スペクトロ シングル50オイル交換フルセット(85W140)6,845円 (税込)×2回
・消耗品:1万5,000円
年間=13万9,214円、月にすると約1万1,601円になります。
月々にかかる金額は維持費+α
ナックルにしろパンヘッドにしろ、半世紀以上前に造られた車両で、当然、新車などあり得ません。存在する車両の全てが中古車になります。そして車両の状態も千差万別です。しっかりとしたショップでフルオーバーホールされた車両であれば、当然、稼働率も高くなることでしょう。
稼働率が上がればガソリン代、タイヤ代、消耗品などの割合は上がるかもしれませんが、故障の可能性も低くなります。逆にオークションなどの個人売買で買った現状のままといった状態の車両であれば、当然、稼働率も低くなり、月々にかかる金額は安くなるかもしれませんが、その分、乗れないという事態が待ち受けていますし、修理代も上乗せされることとなります。
逆に走らないからガソリン代もかからない…などと古いドゥカティなどの笑い話のようなことが、現実に待ち受けているのがナックルヘッド、パンヘッド乗りの抱える悩みではないでしょうか。
要するに旧車の維持費とは、初期投資の額や個体差によるとしか言いようがないのです。優秀な車両ならスポーツスターの維持費にある程度の+αだけで済む可能性もありますが、ダメな車両では乗れないままに最低限の必要な額+その都度、起きる修理代といった金額がのしかかってくるわけです。
ハーレーの旧車に乗る気持ち良さの対価
現行のハーレーの車両ならば、故障に関しては、ほとんど心配しなくてもいいと断言できるほど壊れませんが、ナックルヘッド、パンヘッドはともに故障が起こるものと考えておいて覚悟を決めておいたほうがいいと思います。最低限の維持費+修理代は当たり前と思っていてください。スポーツスターほど稼働できない分ガソリン代などは安くできそうですが、これは嫌味ではなく、事実だと思ってください。
旧車の中でもナックルヘッド、パンヘッドは人気を集めているだけあり、本当に魅力にあふれた車両です。しかし、何の実用性もない、旧車の大型バイクを趣味として抱える以上、初期投資を大幅にかけるか、乗りながら壊れた部分を直しながら、故障を前提として乗っていくかのどちらかだと思います。
「趣味にお金がかかるのは当たり前!」と思える。そして経済的にも問題ないという方にはオススメしたい車両ではありますが、大した覚悟もなく「ちょっといいなぁ…」程度であれば決してオススメはできません。まずは購入前の段階で、ショップに状態をしっかりと聞いて、その上で購入するか否か、判断すると良いでしょう。
すべてを乗り越えて、レッツ・旧車ライフ!