【不朽の名作エンジン】〜アイアンスポーツ編〜

投稿日:2024-04-09

昨今のハーレーのラインアップでは、水冷エンジンや小排気量エンジンを積んだモデルがでてきているとはいえ、ハーレーの代名詞といえば空冷の大排気量Vツインエンジンではないでしょうか。

前回、不朽の名作エンジン紹介としてサイドバルブ・フラットヘッド編をご紹介しましたが、今回の主役はアイアンスポーツです!

【不朽の名作エンジン】〜サイドバルブ・フラットヘッド編〜

 

アイアンスポーツの源流はフラットヘッド!

前回の復習になりますが、ハーレーはビッグツインエンジン開発において、IOE→サイドバルブへとバルブ駆動方式を変更して、高性能化を実現しました。

これの何が重要なのかというと、4カムになったことがポイントです。これにより、バルブ駆動=バルブの開閉をより正確に行うことができるなりました。

 

そして1950年代、ハーレーは押し寄せる英国車(並列2気筒エンジンを搭載したBSA・トライアンフ・ノートンなど)に対抗すべく、よりスポーティなモデルを開発しました。それが1952年に登場した「モデルK」です。

これがスポーツスターのご先祖様に当たるのですが、そのエンジンをよく見るとフラットヘッドエンジンを搭載しているのです!ハーレーは750ccのベビーツインと呼ばれたフラットヘッドをベースに、新たに750ccの4カムサイドバルブエンジンを開発したのでした。

 

アイアンスポーツは1958年に登場!

フラットヘッドを搭載した「モデルK」ですが、残念ながらOHVエンジンを搭載した英国車には太刀打ちできず……そこでハーレーはOHVエンジンを開発しました。それが1957年に「スポーツスター」の名を冠したXLモデルに搭載されたアイアンスポーツ!

 

バルブ駆動方式がOHV化されましたが、腰下の基本構成はベビーツインから連綿と受け継がれた4カム構造でした。ボア×ストロークは見直されて、排気量は883ccへとアップ。そして最高出力は42馬力を発揮。最高速は英国車に負けない160km/hオーバーとなりました。

その翌年となる1958年には早くも、競技用を意味する「XLC」(Cはコンペティション=競技の意味)、圧縮比を7.5から9.0に上げた「XLH」(Hはハイコンプレッション=高圧縮)を追加。さらに59年にはスクランブラーモデル「XLCH」(CH=コンペティションホット)も追加されました。

その後も着々とアイアンスポーツは進化していき、1967年にはセルモーターを搭載。1972年には排気量が998ccとなり、圧縮比は9.0へと高圧縮化。これにより最高出力は61馬力となりました。

 

さらに、1977年には伝説の名車が爆誕!ウィリーGデザインによるカフェレーサー「XLCR」が発売されました。このアイアンスポーツにはケイヒン製キャブレターと点火系のチューニングが施され、最高出力は68馬力へとアップしていました。パフォーマンスとテクノロジーからみると、この「XLCR」がアイアンスポーツの頂点といえましょう。

以降、アイアンスポーツはフレーム変更を受けて生きながらえましたが、1985年に生産が終了となりました。

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