ハーレーエンジンの歴史~アイアンスポーツ

ハーレーはVツインエンジンを製作しはじめてから100年以上の歴史があります。その間に作られたエンジンは、サイドバルブ、ナックルヘッド、パンヘッド、ショベルヘッド、エボリューション、ツインカム、それにスポーツスターです。今回はスポーツスターの初期モデルアイアンスポーツの歴史を学びましょう。
レースに勝つために作られた
戦後アメリカにはヨーロッパのバイクが入ってきました。ほぼハーレー一社しかなかったアメリカ人にとって、小柄でありながら抜群の加速と速さを誇るヨーロッパのバイクが魅力的に見えたのでしょう。それらのバイクがレースシーンに駆り出されるとハーレーの天下も危うくなります。そうならないためにヨーロッパ車に勝てるバイクを作らなければなりません。
1952年、そこでハーレー社が投入したのが、サイドバルブに4カムのKモデルです。これが後のスポーツスターの原型でしたが750㏄で30馬力。それほど速くはなく’55年には883㏄のKHKを発売し、1957年にレーサーマシンKRを製作。そこまでがサイドバルブエンジンモデルでした。
ショベルヘッド誕生
1957年にKモデルの進化版としてヘッドが鉄で作られたショベルスポーツ、通称”アイアンスポーツ”が誕生します。ショベルと聞くと1966年からのビッグツインに採用されたアーリーショベルが最初だと思われがちですがそれよりも9年も早くスポーツスターが誕生し、その実績と技術がビッグツインに継承されたのです。
アイアンスポーツは900㏄からスタートし’72に1000㏄に。シリーズにはスポーツ寄りのXL、ツアラー寄りのXLH、XLCHがあり、1977年と78年の2年だけ生産されたカフェレーサーXLCRがありました。アイアンスポーツは、エボリューションエンジン搭載のスポーツスターに継承される1987年まで生産され、今でも中古市場で人気のシリーズとなっています。
アイアンの魅力は?
今でも大人気のアイアンスポーツ。小さな車体で”じゃじゃ馬”のように走れるエンジンが最大の魅力ですが、さすがに現代では150キロのスピードは誇れるというレベルではありません。ではなぜ人気が衰えないのか。それはノーマルでも十分カッコ良く乗れるほか、それ以上にカスタムのベースとして最適だというのも人気の要因でしょう。
カフェレーサーからチョッパーまで、それほど能力や時間に費用を掛けなくても、ちょっとしたカスタムで最高にクールな仕上がりになります。もちろんカスタムショップでプロのビルダーの手に掛かれば最高なモノができますが、ハンドルやマフラーを換えて自分なりに楽しむのもアイアンだからこその醍醐味です。
例えば、下記の様なハンドルとシートに変えるだけでも雰囲気は一変し、オンリーワンなバイクになって、”見た目”も”走り”より楽しくなるのではないでしょうか。