ハーレーでも慣らし運転が必要なワケ

投稿日:2016-08-19

バイクやクルマの動力となるエンジンは、そのほとんどが金属のパーツで構成されています。ハーレーも当然そうで、金属のクランクが回転しコンロッドに付いているピストンが、シリンダーケース内を上下して圧縮、爆発、排気を繰り返しています。それ以外にもカムの回転も、バルブの開閉もにいたっても、全て金属同士が擦れあっています。そして、VツインOHV大排気量エンジンを搭載するハーレーは、その擦れあう力が非常に強いのは言うまでもありません。

血液がなければ動かない

バイクが動くには摩擦力が欠かせません。摩擦がなければタイヤが回り出すことも出来ませんし、動いている時に摩擦力がなくなれば止まらなくなります。摩擦は、バイクだけに限らず人間が生きる上でも欠かすことのできない大切な力ですが、その摩擦によって、本来発揮できるパワーの一部を損なっているのもまた事実です。

そのため、金属同士の摩擦で損なわれるパワーを最小限に抑える、それがオイルで潤滑させるということです。このオイルによる潤滑がなければ、エンジンは簡単に焼き付いてしまいます。エンジンを労わり、常に良い状態を保つために必要なのが”慣らし運転”です。

新車だけではなくエンジンを開けたら必須です!

新しいエンジンは、金属同士が初めて擦れあうと考えて下さい。どれ程の技術力があっても完全な球体が作れないように、シリンダーやピストンには曲線が必ずあります。そこに目に見えない誤差のようなものがあり、その部分が擦れあうことで正常なクリアランスになる、非常に乱暴な説明ですがそう考えて下さい。目に見えない程の誤差を正常なクリアランスになるまで、エンジン回転数を抑えることが慣らし運転です。新車だけではなくエンジン内部を修理した時にも必ず必要になります。

エンジンオイル交換はコマメに

適正クリアランスになるまで、擦れあった金属は当然削れています。なので慣らし運転中はコマメなオイル交換が必要です。一般的には3,000km程が慣らし運転ですが、ハーレーの旧車ではオーバーホール後200kmごとにオイル交換を推奨しているショップもあるほどに、オイル交換はエンジンにとって非常に大切な作業です。

ハーレーの魅力なひとつに加速時のトルク(力強さ)がありますが、慣らし運転中だけは、急発信・急加速をしないよう我慢しましょう。低回転でのノッキングも避けたいので、適正なギヤの選択も必要です。そのため、低速でのトルクフルな持ち味も楽しめませんが、愛車を末永く楽しむために3,000kmの我慢です。

オイル交換をするのであれば、同時にオイルフィルターの交換も行いましょう。オイルフィルターとは、金属摩擦によってエンジン内の稼働部分から剥がれる金属粉やスラッジ(ホコリや燃焼カスなどの不純物)をろ過するパーツです。ここが汚れていると、せっかくのオイル交換も意味がありません。そこで、慣らし運転期間中にかかわらず、オイル交換時はあわせてオイルフィルターを交換しましょう。

最新式国産エンジンに比べれば、その鼓動感を大事にしているハーレーのエンジンは、まだまだシンプルな作りです。そんな調子の良し悪しが如実にわかるシンプルな構造のハーレーエンジンだからこそ、慣らし運転はしっかりとやるべきでしょう。その先にトルクフルな低速から一気に最高速に加速する、”あの快感”が得られるのですから。

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